石川県金沢市で気密測定 2024/05/29
稜です。
2024年5月29日は石川県金沢市で
㈱イシダ住建さまの現場で
気密測定を行いました。
中に上がります。
屋根・壁の断熱は、
ウレタン吹き付け断熱と
なっています。
外壁の面材には、
吉野石膏のタイガーEXハイパーが
使用されているようですね。
こちらは設計上、
二階の床がオーバーハングしている
箇所となっているのですが、
断熱材(ネオマフォーム)の取り合いが
丁寧にコーキングで気密処理されていました。
オーバーハングしている箇所は
漏気を起こしやすく注意が必要ですが、
こちらだけでなく上側の取り合いでも
気密処理してあるでしょうし、
安心できますね。
サッシは三協アルミのアルジオ。
アルミ樹脂複合のサッシですね。
チェックしていきます。
サッシ周りはコーキングで
気密処理されています。
丁寧な処理ですね~。
現場は床断熱となっています。
柱周りも丁寧にコーキングで
気密処理されていました。
先程のサッシ周りにしてもそうでしたが、
ただコーキングを打つだけではなく、
打った後に上からヘラや指でなぞって
処理しているのが素晴らしいですね。
外周部も同じように
気密処理が施されていました。
コーキングで気密処理を行う際は、
このように打った後でなぞるのが
おススメの処理方法ですね。
今回また図を作成してみました。
(伝わりやすい図を目指していたんですが、
ちょっと微妙かも。)
でも伝えたいことは、
コレに書いてある通りです。
なぞる工程が増える分、
かかる手間も増えてしまいますが、
ただ打つだけよりも確実に
隙間が埋まりやすい処理となります。
掃き出し窓の下端もチェック。
本当にミッチリ丁寧に処理されていて
見ていて気持ちが良いです。
玄関付近もチェックしてみると、
基礎と土台の間に入っているパッキンや
合板と土台の取り合いまで
ちゃんと処理されていました。
「気密パッキンを使ってるから
漏気の心配はないでしょ」
などと油断してはいけません。
上下(土台と基礎)の取り合いや
ジョイント部分から伝い漏れが
起きているケースは本当に多いです。
ここはモルタルで埋まる箇所では
ありませんので、
タイルなどを貼る前にキッチリと
気密処理しておくと安心です。
一階天井(二階の床)と胴差し、
梁などの取り合い部分。
こちらも伝い漏れの起こりやすい箇所です。
工法や気密ラインによっては
漏気量がとても多くなりますので、
なるべく処理しておきたいです。
お風呂周りの気密処理。
ボード状断熱材の取り合いが
ウレタンとテープを使い分けながら
処理されていますよね。
このように使い分けられている
のには理由があります。
これは個人的な意見ですが、
平面の気密処理を行う際に
市販のウレタンスプレーを使用するのは
あまりおススメできません。
ウレタンというのは
吹き付けた後で膨らむ性質がありますが、
都合良く隙間を残すことなく埋めてくれる
という訳ではありません。
そのうえ、接する面が一つとなると
支える力が小さくなるため、
吹き付けた箇所から剥離しやすくなる
というのも理由として挙げられます。
(あくまで市販のウレタンスプレーの話です。
吹き付け業者さんの使うものとはまた別です。)
そこで平面の取り合いのみ
粘着性の高いテープを使うことで、
しっかりと気密を確保している訳です。
ウレタンはウレタンで断熱的な
役割も果たすことが出来ますので、
平面に比べて処理の行いやすい
隅に関してはテープではなく
ウレタンを使用しているのでしょう。
つらつらと書きましたが
結局何が言いたいのかというと、
気密処理を行う際は使い分けをする
のも大切だという事です。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.19cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
玄関ドアの付近をチェックしていると、
端の方のコーキングを打ってある
箇所から漏気がありました。
結構多めにコーキングを打っていたようですが、
それでも漏気してしまうのが恐ろしい。
勿論、高さ的にモルタルで埋まる
箇所ではありませんので、
このまま竣工まで放置してしまうと
タイルの裏を伝って漏気が
起こる可能性が高いです。
そんなこと無いでしょ。
と思う方もいるでしょうが、
実際に竣工後の気密測定で何度も
漏気しているケースを確認しています。
(㈱イシダ住建さまの現場の話という
訳ではではありません。)
ウレタンを吹き付けるなどして
しっかり漏気を止めました。
こちらは梁の金物のスリット。
玄関ポーチ上部はオーバーハングして
室内となっていますので、
こちらは外周部に当たります。
手を近づけてチェックしましたが
漏気は起きていませんでした。
しかし、外周部の金物となると、
このまま放置するわけにはいきません。
何故ならば、熱橋となって結露を
起こす可能性があるからですね。
断熱ラインの外に通じている金物は要注意!
なるべく内か外でウレタンを吹き付けるなどして
熱橋の対策を行いましょう。
最後に中連の引き違い窓からの
漏気が気になりましたので、
気密性の改善を試みています。
具体的に言うと、
上部の気密部材や召合わせ部分の
当たり具合を少しでも良くしようと
手でイジイジしている訳です。
特に引き違い窓は建付けによって
上下のレールなどの隙間量が変わるので、
引渡し前までに戸車や下部摺動片を
調整しておくと良いと思います。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.13cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
20cm2 → 14cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.36 → 1.16
となっています。
この結果に、
立ち合いされた監督さんは
納得されたご様子でした。
改善前と比較してみると、
αA (家全体の隙間面積)が
6cm2 も縮まっていますね。
上でご紹介した箇所の他にも
改善処理しているのですが、
今回はサッシを弄ったのが効いて
いるのかもしれませんね。
何はともあれ、素晴らしい気密。
現場の気密処理の具合を見ていると、
気密に対するこだわりが伝わってきます。
大工さん達が丁寧な処理をしているからこそ
これだけ良い気密になるのでしょう。