富山県高岡市で気密測定 2024/05/30
稜です。
2024年5月30日は富山県高岡市で
㈱作造さまの現場の
気密測定を行いました。
中に上がります。
屋根・壁の断熱は、
ウレタン吹き付け断熱と
なっています。
サッシはYKK APW330。
樹脂ペアガラスです。
チェックしていきます。
サッシ周りはウレタンで
気密処理されています。
窓台やまぐさの取り合いを見ると、
テープを貼って伝い漏れを対策が
施されていました。
木と木の取り合いからは
案外伝い漏れが起こりやすいので、
こうしておけば安心ですね。
外周部に位置する一階の天井(合板)と
桁梁の取り合いですね。
伝い漏れと言えば、
こちらの取り合いも侮れません。
ウレタン吹き付け断熱の場合は
比較的漏気しづらい印象ですが、
それでも絶対ではありません。
特に下屋部分の取り合いからは
漏気しやすい傾向がありますので、
気密処理しておくことをおススメします。
現場は床断熱となっています。
床を貫通している給湯給水管や
排水管の周りは、
ちゃんと気密処理しておかないと
確実に漏気が起こります。
タイミング的に給湯給水管の周りが
処理されていませんでしたので、
ウレタンを吹き付けて気密処理を行いました。
この配管貫通部の気密処理を
行う際に大切なポイントは、
穴(貫通部)の幅からはみ出るよう
(床の上に何ミリか乗っかる程度)に
隙間を埋める事ですね。
ウレタンやコーキングが
穴の幅ギリギリに詰まっていると、
接着面から切れたり剥離しやすいので
結局隙間が出来てしまいます。
実際に、気密処理をしてから
中間時点の測定を迎えるまでに、
隙間が出来てしまっていたという
ケースを何度も確認していますので。
(※作造さまの現場の話ではありません。)
床の配管貫通部は見える場所でなく
隠れる事がほとんどだと思いますので、
しっかりミッチリ幅広めに
気密処理しておくのをおススメします。
測定を行う前に少しチェックしていると、
玄関ドア周りの気密処理がまだでしたので
ウレタンを吹き付けています。
枠を入れる際に邪魔になるので
気密処理が億劫になるのは分かりますが、
玄関ドア周りはかなり漏気しやすいので
出来るうちにしっかりと処理しておくのが吉です。
(大工さんには申し訳ないですが…)
先ほどの玄関ドア周りの気密処理
の画像を見れば分かる方も
いらっしゃると思いますが、
玄関ドアは片引き戸となっています。
この玄関片引き戸が中々漏気しそうな
感じをしておりまして、
かなり目立った漏気箇所があると
その分他の隙間からの漏気量が少なくなり、
探すのが難しくなります。
その為、あくまで参考値となりますが
テープで目張りをした状態で先に測定をし、
最後(改善処理後)に本測定という
流れで行きたいと思います。
気になる結果は…
C値=0.16cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)を
していきます。
こちらお風呂の給湯給水管の貫通部です。
根元の当たりに割れが出来ているものの、
隙間は無いように見えますが…
視点を変えて見るとホラ。
隙間が確認出来ましたね。
低い位置や狭い箇所では、
通常の人間の視点では見えずとも
実際には隙間が出来ている場合があります。
このような所謂死角に出来た隙間を
見逃さないようにするには、
視点を変えながら確認するのがとても重要です。
視点を変えるとは言っても、
地べたスレスレまで顔を近づけたり、
脚立の一番上に上って背伸びをしたりと
無理をする必要はありません。
何故なら私たちにはスマホという
第三の目がありますので!
スマホのカメラ機能を使えば、
上記に記載したようなケースは勿論、
顔が入らないような狭い箇所や
高所であっても確認する事が可能です。
上の画像は別の現場の写真ですが、
こういった高所のスリーブ貫通部などは
下から眺めるだけではチェックしきれません。
天井が近いので上から覗いて
確認するのは中々難しいですが、
スマホを持って近づけるだけで
下からは見えなかった隙間を
発見することが出来ました。
パシャリと写真を撮るでも良いですし、
レンズを近づけてスマホの画面を見れば
モニターのような役割でチェックする事も可能です。
実際、天井下地が邪魔で顔が入らない…
しかし壁のスリーブ管貫通部を
上から見てみたいといった場合など…
とても便利ですので重宝しています。
話が少し脱線しましたが、
先ほど確認出来た配管下の隙間と
付近のひび割れしていた箇所に
ウレタンを吹き付けて気密処理しました。
ひび割れしていた箇所は
他の業者さんが配管を動かした際に
出来てしまったのでしょう。
伝い漏れを起こす可能性がありますので、
こちらもしっかりと処理しておくべきですね
二階の間柱の下に隙間が出来ています。
このように隙間が出来ていても
漏気していないケースは結構あるのですが、
今回はかなり漏気していました。
それも一ヶ所だけではありません。
何が原因かと言いますと、
この向こうが下屋となっている
という点でしょうか。
気密ライン(高低差)の関係で、
本来あまり漏気する事の無い隙間でも
外気に通じてしまっているのでしょうね。
この下屋のラインの下部に出来ていた
隙間のほぼ全てから漏気していたので、
奥の方までウレタンが詰まるように
しっかりと気密処理を行いました。
それでは改善処理後の結果を
確認するべく目張りしたままで
再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.13cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
24cm2 → 20cm2
となっています。
改善前と比較してみると、
4cm2 の隙間が埋まったという
結果になりましたね。
それでは玄関片引き戸の
目張りを剥がして、
正規の測定を開始します。
結果は…?
C値=0.20cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
20cm2 → 29cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.14 → 1.45
となっています。
この結果に、
立ち合いされた監督さんは
納得されたご様子でした。
やはり玄関片引き戸を目張りした状態と
そうでない状態とでは差がありますが、
αA (家全体の隙間面積)は
9cm2 と極端に悪くなっている
訳ではありませんし、
n値 (隙間特性値 範囲1~2)に関しても
片引き戸ということを考慮すれば、
想定よりは影響が少なかったように思います。
監督さんや大工さんが頑張って
気密処理をしたとしても、
この玄関片引き戸一つで気密が
落ちてしまうのは悲しいですが、
使い勝手が良いのは間違いありませんからね。
しかし逆を言えば、
玄関片引き戸が入っていても
これだけ良い気密を出せるのは
素晴らしい事だと思います。
設計やデザインだけでなく、
気密に対しても想いとこだわりがある
㈱作造さまだからこそ、
こうして実現できるのでしょうね。