富山県下新川郡で気密測定 2024/06/26
稜です。
2024年6月26日は富山県下新川郡で
伊田直樹建築設計事務所さまの現場の
気密測定を行いました。
中に上がります。
屋根と壁の断熱はともに、
ウレタン吹き付け断熱と
なっています。
サッシはYKK APW430。
樹脂トリプルガラスです。
こちらの掃き出し窓は、
大開口スライディングが
採用されています。
引き違い窓とは異なり、
施錠時に障子をエアタイト材と
密着させることで、
高い気密性を確立したサッシ
となっています。
チェックしていきます。
サッシ周りはコーキングで
気密処理されています。
現場は床断熱となっています。
柱の下端はコーキングで、
筋交いの根元はウレタンと
合わせて気密処理をしていますね。
先程のサッシ周りにしても
同じことが言えますが、
とても丁寧に処理されています。
コーキングはなるべくなぞって
押し込むようにしてありますし、
ウレタンに関しても隙間が出来ないように
綺麗にミッチリと吹き付けてあります。
こちらの配水管の貫通部も
丁寧な処理ですね~。
(ピンボケ写真で申し訳ない…)
玄関土間周りの土台と基礎の
間に入っているパッキンは、
表面に防水テープを貼ることで
防水と気密の対策が施されていました。
気密パッキンと言えど、
ジョイント部分から漏気を
起こしてしまう事がありますので、
このように処理しておけば安心ですね。
お風呂周りの気密処理。
断熱材の取り合いは、
ウレタンとテープを使い分けて
気密処理しているようですね。
隅のL字部分や外周部はウレタンで、
平面のジョイント部分はテープで。
この使い分けというのが非常に大切。
正直な話、面のジョイント部分の
気密処理にウレタンは不向きです。
(あくまで市販のウレタンスプレーの話。
吹き付け業者さんの使う二液の
ウレタンとは異なります)
何故なら、ただでさえ処理しづらい上に
揺れや振動によって接着面から
剥離してしまうからです。
そのため見た目は問題無さそうでも
実は面から剥離して隙間が出来ている
といった事になりかねません。
その点、テープは面の処理にとても強く、
しっかりと掃除してから圧着させれば
そうそう剥がれることはありませんので。
(テープの粘着力や接着箇所にもよります。)
と、給湯管の貫通部左上端に
切り込みが見えていました。
貫通部の穴自体は埋まっていても
この切り込みがそのままでは
伝って漏気を起こしてしまいます。
社長自ら漏気チェックをしています。
確かに漏気しているようです。
追加でウレタンを吹き付けて
切り込みを覆い隠すように
気密処理をしました。
ここで、さっき使い分けは大切だとか
面の気密処理にウレタンは
不向きだとかと言っていたような…?
と疑問に思った方がいるかも知れませんので
説明させていただきます。
使い分けは大切と言いましたが、
この場合は付近にウレタンが
吹き付けられているので、
その上からテープを貼ることに
なってしまいますよね?
そうなると、ウレタンの表面が凸凹していて
隙間を残さず綺麗に貼るが困難ですし、
せっかく無理して貼ったテープが
ウレタンにかかっているせいで
浮いたり剥がれてしまう可能性が高いです。
なので、ここはウレタンを繋げるように
処理をする方が適しているという訳です。
使い分けというのも大切ですが、
組み合わせや順序というのも
考える必要があるんです。
例えば、
ウレタン→ウレタン 〇
ウレタン→テープ ×
テープ→ウレタン 〇
といった感じでしょうか。
テープの後でウレタンがOKなのは
それによってテープが剥がれやすくなったり、
ウレタンが剥離しやすくなるといった
心配があまりないからですね。
結構長くなりましたが、
かなり重要な事だと思っていますので
知ってもらえると嬉しいです。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.059cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)を
していきます。
間柱の下に少しだけ隙間が
出来ていますね。
実際は間柱が土台から浮いている
という訳ではなく、
間柱の手前側の部分と床の合板とが
接していないだけですので、
スカスカに隙間が空いている
という事はないのですが…
僅かに漏気しているようです。
最近は他所のウレタン吹き付けの
現場でも、この間柱の下の隙間から
漏気しているケースが結構あります。
具体的にどこから伝い漏れしているのか
と言われると断定は出来ないのですが…
おそらく土台との取り合いからでしょうか。
いくらウレタン吹き付けといえど、
隅の方まで隙間なく丁寧にミッチリ
埋めるというのは困難でしょうから、
このように逃げ道が残っていると
僅かな隙間から搔き集められた空気が
せっせと出入りしてしまうんですね。
しっかりと隙間の奥の方まで
ウレタンを詰め込んで、
外気との繋がりを断ちました。
大きめの滑り出し窓の隅から
少し漏気が感じられたようなので、
大工さんがサッシの調整を
して下さっています。
このようなラッチタイプの滑り出し窓は、
ハンドルを閉めて施錠した際に
ロックする為のピンとその受け具の
位置によって障子の寄り具合が変わります。
障子の寄り具合によって、
枠に付いているパッキンとの
密着具合も違ってきますので
気密性にも変化が生じます。
あまり寄せすぎるとハンドルが
固くなって閉めづらくなり、
使い勝手が悪くなりますので
注意が必要ですが、
適度な調整は隙間風の対策になります。
完全に漏気が無くなった訳ではないですが、
大工さんの努力の甲斐あって
調整前より気密性は上がったようです。
屋根のウレタン、雲筋交いの根元。
ちょっと怪しい隙間が出来ています。
手を近づけて確認したところ
漏気は無かったのですが、
怪しい隙間は埋めるべきと
社長がウレタンを吹き付けて
隙間を埋めてらっしゃいました。
そうですよね。
今は漏気していなくても、
経年劣化や振動によって
外気に通じる隙間が出来てしまう
可能性もありますので、
怪しげな隙間は埋めておくに
越したことはないでしょうね。
お施主様が快適な環境に
長く住まうことが出来るように
より良い家を創ろうとする
伊田社長の想い。素晴らしいです。
他にも屋根のウレタンで怪しい
箇所がいくつかありましたので、
いずれも追加でウレタンを吹き付ける
などして気密処理を行いました。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.045cm2/m2の
ウルトラ気密です!
表示は四捨五入により0.0cm2/m2!
αA (家全体の隙間面積)が
10cm2 → 8cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.27 → 1.02
となっています。
この結果に、
立ち合いされたお施主様は
満足されたご様子でした。
改善処理の前も既に素晴らしい
気密だったのですが、
さらに2cm2の隙間が埋まって
伊田直樹建築設計事務所さまでは
初となる C=0.0cm2/m2 表示を
達成する事が出来ました。
これも伊田社長や大工さんを
はじめとした現場に関わる方々が
気密を意識して作業された結果でしょう。
これだけ良い気密で素敵な家ならば
日々の生活がとても心地よく
豊かなものになりそうですね。