石川県鳳珠郡穴水町で気密測定 2024/11/21
稜です。
2024年11月21日は石川県鳳珠郡穴水町で
㈱LINXさまの現場の気密測定を行いました。
中に上がります。
天井の断熱材はグラスウール。
100mmを三重にした仕様。
壁の断熱材もグラスウールで、
外壁側にカネライトフォームを
付加断熱として貼った仕様です。
壁の断熱材が充填前の状態ですので、
気密処理をチェックする事が出来ます。
面材と柱、土台などとの取り合いを
コーキングで気密処理してありますね。
その上、外壁側でも面材のジョイントに
テープを貼って気密処理してあります。
内外二重の気密処理という訳ですね。
天井も梁などとの取り合いに
コーキングを打って気密処理してありました。
この気密処理の凄いところ。
それは…
関連する取り合いを徹底的に
気密処理してある所ですね。
天井に直接当たっている箇所以外にも、
それに接触している箇所は全て
気密処理してあるという徹底ぶり。
とても綺麗に丁寧に気密処理をしていたとしても、
どこかしらに少しでも隙間が残っていれば
そこが外気の出入り口となり、
伝い漏れが発生してしまう可能性があります。
木と木の取り合いというのは
一見ビチッと当たっていて隙間なんて
全く無さそうに見えるのですが、
実際には僅かに残った隙間が空気の通り道となり
漏気が発生してしまうんです。
ですので、万が一のことを考慮し
僅かでも伝い漏れを起こす可能性のある
取り合いは全て気密処理してある訳です。
大工さん達の苦労は計り知れません。
同様に外周部の取り合いも徹底して
気密処理されています。
ここまで全て気密処理されている
光景を見ていると何だか気持ちが良いですね。
サッシはリクシルのEW。
樹脂トリプルガラス仕様となっています。
サッシ周りも丁寧で徹底された処理ですね。
まぐさと間柱との取り合いが
テープで気密処理されていますが、
隅(L字)の所にコーキングを見ると
その上からが打ってありますよね?
この処理の順序というのも
また素晴らしいんですよね。
個人的に、別種の気密材が重なる
箇所は順序が肝心だと思っています。
この場合、テープ→コーキングですが、
これがコーキング→テープと順序が逆になると
重なった部分のテープが剥がれたり
浮いてしまう可能性があるんです。
(テープやコーキングの材質、
処理の方法にもよると思いますが。)
折角貼ったテープが剥がれては勿体ないですし、
なにより隙間も生まれてしまいますので、
このように相性と順序を考えながら
気密処理するのも気密を良くする上で
とても大切な事だと思います。
玄関土間まわりの断熱材の取り合いも
コーキングで気密処理して下さっています。
意外と漏気を起こしがちな箇所。
後でモルタルで埋まるはずですが、
中間時点の気密を正確に測定する為に
ちゃんと処理して下さっています。
大工さんたちに感謝です。
現場は基礎断熱となっています。
基礎には換気用の貫通部がありまして、
それをボイドテープで塞いであるのですが…
チェックしてみたところ、
浮いてしまっている箇所があるようです。
元々基礎は粉や凹凸があって
テープが貼り付きづらいですし、
その上、雨や汚れでさらに剥がれやすくなります。
このままでは気密を測定する上で
問題になってしまいますので、
しっかりと補強していきましょう。
とはいえ、上から縁にテープを
貼るだけなんですけれども。
ちなみに養生テープでは直ぐに
剥がれてしまいますので、
気密テープを使用する事をおススメします。
(濡れていると特に貼り付かない…)
当日中に剥がすのであれば、
嫌な感じに粘着が残ってしまう事も
ないと思いますので。
測定を始める前に、
橋本代表が自ら接合金具を
ウレタンで埋めて下さっています。
気密的にも勿論のこと、
熱橋の対策としても有効ですので
外周部に位置しているものは
なるべく処理しておきたいですね。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.14cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
配線配管の壁貫通部です。
周りにウレタンを吹き付けて
処理してあるようですね。
一見問題なさそうに見えますが、
どうやら少し漏気があるようです。
いや~隙間無さそうなんですけどね…
測定器で室内を減圧している最中は
実際に漏気が隙間の有無を教えてくれます。
漏気が止まるまで確認しながら
しっかりと気密処理を行いました。
似たような箇所ですね。
こちらも特に隙間無さそうなんですが…
漏気がありましたので処理していきます。
何か所かありましたので、
全てしっかりと気密処理しました。
見た目だけでは判別できない
隙間が空いているパターンもあると
いう事は覚えておきたいですね。
お~怖い怖い。
玄関ドアの下端から少しだけ
漏気があってようです。
こちらも土間の断熱材と同様、
後で埋まる箇所ではありますが、
現時点での気密をしっかりと測定する為にも
ちゃんと隙間は塞いでおきたいです。
お風呂の給湯管などの基礎貫通部。
こちらは室内側から気密処理
してあるとの事ですが、
念のため外側からも周りの
隙間を埋める事になりました。
ウレタンを吹き付けて隙間を塞ぎます。
内外両方で処理してあれば、
まず漏気することは無いでしょう。
どちらか一方に隙間が出来ても、
もう一方がちゃんと塞がっていれば
外気が侵入する事も無いので、
やっておいて損は無いです。
最後に勝手口などのパッキンを
起こしたりして改善を試みます。
案外、これだけで気密が良くなる
ケースもあるので侮れません。
サッシ本来の性能を引き出すという
意味では重要な事でもあります。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.099cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
17cm2 → 12cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.40 → 1.15
となっています。
実はこちらの現場、
玄関ドアに片引き戸が入っているうえに
掃き出し窓と中連に引き違い窓が
各3枚ずつ採用されています。(測定器設置個所含む)
ですので、正直なところ
測定においては条件が不利なんです。
という事で、
既にとても良い気密なんですが
検証のために玄関片引き戸のみを
目張りして測定をしてみます。
結果は…
C値=0.074cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
12cm2 → 9cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.15 → 1.05
となっています。
この結果に、
立ち合いされた橋本代表は
満足されたご様子でした。
結果としては、
玄関片引き戸の目張り無しで
αA (家全体の隙間面積)が 12cm2。
改善作業前と比較すると、
5cm2 の隙間が埋まった事になります。
玄関片引き戸を目張りした状態では、
αA (家全体の隙間面積)が 9cm2 で
少なくとも 3cm2 程度の隙間が
存在しているという結果になりました。
ちなみに、少なくとも 3cm2 程度と
あやふや回答になっているのは、
気密処理や目張りで隙間が埋まったところで
他に大きな隙間があるとそこから
より漏気しやすくなる可能性があるからです。
今回の場合は、先ほどもお伝えした通り
掃き出し窓と中連の引き違い窓計5枚ですね。
(設置個所の中連1枚を除く)
とはいえ、逆に言えば
これだけ片引き戸や引き違い窓が
採用されているにもかかわらず、
これだけ良い気密になっているのは
本当に素晴らしい事だけ思います。
完成時にも測定を行うとの事なので
今からとても楽しみです。