石川県津幡町で気密測定 2025/06/13

稜です。

2025年6月13日は石川県津幡町で

㈱桐工房さまの現場の気密測定を行いました。

中に上がります。

 

現場はパネル工法です。

画像を見ると分かりますが、

パネルと柱などの取り合いに

テープを貼って気密処理を

施してありますね。

外壁側にはWURTH製の防水シート。

 

これによって既に見えない

状態になっているのですが、

外壁側でもパネルの取り合いに

テープを貼っているようです。

 

つまり、内と外で二重の

気密処理が施されている訳です。

 

このようなパネル工法や

外壁の面材の取り合いが

気密ラインとなっている場合は、

内外二重の気密処理を施す事で

より気密を確保しやすくなります。

屋根の断熱材はネオマフォーム。

 

室内側からはコーキングや

テープを使って気密を確保、

上部の外気側の取り合いは

テープで処理を施しています。

 

それに、所々短めのテープを

貼っている箇所がありますよね。

これは断熱材が落ちないように

固定する為のピンが伝い漏れを

起こす可能性があるので、

それを防ぐための対策となっています。

 

一か所からの漏気量は大した事は

無いのですが…塵も積もればなんとやら。

 

コレが何十何百もあるとなると

馬鹿にならない漏気量になるので、

出来れば対策しておきたいところです。

サッシはリクシルのEW。

樹脂トリプルガラス仕様ですね。

 

サッシの周りはコーキングと

テープを使い分けて気密処理

してありますね。

現場は床断熱となっていまして、

床の合板の取り合い等にはテープを、

床を貫通している排水管や柱周りには

コーキングを打って気密処理してあります。

この場合、勿論外周部の隙間も

気密処理しておかなければ、

結局漏気を起こしてしまいます。

 

気密というのは面倒な事に、

いくら隙間を塞いだところで

他に逃げ道が残っていれば

そこから余分に出入りするだけです。

 

丁寧にコーキングを打って

気密処理してありますね。

二階の床(合板)と胴差し等の

取り合いもコーキングを打って

気密処理されていました。

 

こちらも必要な処理なのですが、

何故だか分かりますか?

冒頭でもご紹介した通り、

現場はパネル工法となっていまして

パネルの取り合いにテープを貼って

気密処理を施していまして、

この取り合いというのは柱だけでなく

床の合板も対象となります。

 

そしてこの合板は胴差しに

乗っかっている状態です。

 

つまりはパネルと合板と柱と胴差し、

これらの取り合いは全て

同じ気密ラインに位置するので

関連する取り合いを徹底して

塞がなければいけません。

 

ですので、2階側と1階側で

サンドイッチのように挟んで

気密処理する必要がある訳ですね。

壁の配線貫通部です。

 

線の周りにミッチリと厚めに

コーキングを打っていますので

直ぐに切れて隙間が…なんて

ことも無いでしょう。

こちらも同様に壁の貫通部。

 

スリーブ管とパネルの間柱が

密接している状態ですね。

 

これだけ密接していると

隙間なんて無さそうですが、

残念ながら隙間は出来ます。

それも狭い分隙間を埋めづらい

厄介な構造になっています。

 

しかし、意識して処理してあるので

キチンと隙間が塞がっていますね。

狭い箇所ほど丁寧な処理が大切です。

こちらはホールダウン金物。

 

床断熱ですので、気密としても

処理は必須な箇所なのですが、

金属である以上は熱橋による

結露の対策も重要になります。

 

これだけギッチリとウレタンで

覆ってあると安心感がありますね。

それでは測定を行います。

気になる結果は…

C値=0.19cm2/m2の超高気密です。

表示は四捨五入により0.2cm2/m2。

C値改善作業(隙間埋め)を

していきます。

 

お風呂周りの気密処理をチェック。

隅はウレタン、面はテープと

気密材を使い分けて処理しています。

 

気密材には適材適所があるので、

このように使い分けているのは

素晴らしいと思います。

まぁそれはそれとして、

ウレタンというのは吹いた後で

膨張する特製があるので、

大きな穴などを埋めるのには

大変重宝するのですが…

 

このように凸凹状にムラがあって

隙間が残ってしまう事もしばしば。

 

上の画像にも漏気している隙間が

あるのですがどれか分かりますか?

正解はココです。

って分かる訳ないですよね。

そう、分かる訳ないんですよ。

だからこそ、気密測定中は

減圧によって外気に通じている

隙間を判別できるようになるので

チャンスなんですよね。

 

ただ気密を測るだけじゃなく、

気密を改善する機会を設ける事が

出来るのが気密測定なんです。

 

他にも漏気している小さな隙間が

ちょこちょこありましたので、

しっかりと埋めておきました。

お次は勾配天井部分の取り合い。

構造上、端の方にパネルの枠と

断熱材の段差分の隙間が出来ます。

 

その隙間をウレタンで埋めて

気密処理しているのですが、

どうにも所々漏気しているようです。

追加でウレタンを吹き付けて

気密処理を行いました。

 

こちらもお風呂と同様に、

見ただけでは漏気するか否か

判別できないような隙間ばかりで、

測定器で減圧している状況だからこそ

隙間を特定して埋めることが出来ました。

 

怪しい隙間はとりあえず

埋めておくが吉なのですが、

全部全部やっていたらキリが

ありませんし時間と手間が

かかって仕方ありません。

 

効率良く隙間を探して埋めるには、

やはり測定中のタイミングが良いですね。

上の方で二階の床(合板)と胴差しの

取り合いが気密処理されている

のを確認しましたが、

このように処理されておらず

隅の切り欠きが見えてしまって

いる部分が残っていました。

 

手を近づけてみると、

フゥウ…と漏気しているのが

しっかりと分かります。

外周部の取り合いに関しては

全て処理してあったのですが、

ここは下屋部分の取り合いなので

見逃してしまったのでしょう。

 

下屋部分の気密ラインが

この合板と胴差しの取り合いより

低い位置に設計されている以上、

間違いなく漏気を起こしますので

必ず気密処理しなければなりません。

 

気密ラインと取り合いの位置関係、

コレが気密を確保する上で

かなり重要な事なのですが、

説明するのがどうにも難しい。

 

 

もし例えるならば、

半分だけ水を入れたビニール袋。

その袋に針を刺して穴を空けたとき、

空けた穴の位置によって水が漏れるか

否か変わってきますよね?

 

水面より下なら水が漏れてしまいますが、

水面より上なら当然水は漏れません。

水面と水が触れている袋の表面が気密ラインで、

穴の空けた位置が取り合い(隙間)です。

 

色々と無視したへったくそな説明ですが、

少しは伝わりましたかね?

監督さんが取り合いにコーキング

を打った後、上からヘラでなぞって

均していらっしゃいます。

 

このコーキングで気密処理をする際に

非常に大切な工程なのですが、

コレを説明しだすと長~くなるので

今回は省かせて頂きます。

 

とにかく、これで漏気は治まりました。

最後に玄関土間の周りをチェック。

 

玄関ドアの下端や基礎パッキンの

辺りから漏気がありましたので、

気密処理をしています。

 

大体は後の工程で埋まったり、

タイルで隠れる箇所ばかりですが、

位置によっては伝い漏れを起こして

しまう可能性もありますので、

気密処理のしやすい今のうちに

しっかり処理しておきたいですね。

 

それでは再度測定を始めます。

結果はいかに…

C値=0.16cm2/m2の超高気密です。

表示は四捨五入により0.2cm2/m2。

 

αA (家全体の隙間面積)が
23cm2 → 19cm2

 

n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.14 → 1.09
となっています。

この結果に、

立ち会いされた監督さんは

納得されたご様子でした。

 

結構隙間を埋めたつもりでしたが、

αA (家全体の隙間面積)が

4cm2 しか改善していませんね。

う~ん悔しい。

 

 

ですが、隙間を埋める事に費やした

時間や労力は絶対に無駄にはなりません。

 

本来、こうして気密測定を行い

改善作業(隙間埋め)をしていなければ、

お風呂や天井、玄関の周りに隙間が残り、

想定していない箇所で空気の移動が発生。

 

折角暖めた空気が逃げてしまったり、

外から冷えた空気が入り込んだり、

換気システムのフィルターを通過しないため

意図せず汚れた空気を取り込んでしまったり。

エアコンの効き具合や結露の発生の有無、

計画的な換気への影響は少なからずあります。

 

ちょっと大袈裟に言っていますが、

それらを防ぐためには外気に通じる

隙間を少しでも埋める必要があります。

たとえ数値があまり改善しなくても

隙間を埋める作業は非常に有意義です。

 

 

何度か同じ会社さんの現場の

気密測定をさせて頂いていると、

気密への意識や向上心というのが

処理の具合を見ていて感じ取れます。

 

上の方でなんだかんだと言っていますが、

間違いなく良い気密です。

 

お施主様がより快適に暮らせるように

気密を高めようとする㈱桐工房さまの努力と想い。

本当に素晴らしいと思います。

気密測定

Posted by fok-rs