石川県羽咋市で気密測定 2025/08/22
稜です。

2025年8月22日は石川県羽咋市で
㈱D-COLORSさまの現場の
気密測定を行いました。


中に上がります。

現場はパネル工法となっています。
パネルや柱、床などの取り合いに
テープを貼るなどして気密処理が
施されています。

こんな感じで、取り合いという
取り合いを徹底して処理してあり、
とても時間と手間がかかっているのが
見ていて分かります。

天井もこの通り、断熱材と
桁梁の取り合いがコーキングで
気密処理されているばかりか、
断熱材を支えるためのピンまで
テープを貼って気密処理してあります。
このピン。ひとつひとつの
漏気量(隙間)は少ないのですが、
これが大量にある訳ですから
その分気密への影響も大きくなります。
なるべく処理しておきたい
箇所のうちの一つですね。


このように高天井となっている部分も
とても丁寧に気密処理してあります。
もう広いのなんのって。
これだけ高く広いと処理も大変ですが、
こうして妥協せずに全うしている所から
㈱D-COLORSさまや大工さんの
気密に対する熱意や想いのほどが伺えますね。

サッシはYKK APW330。
樹脂ペアガラス仕様ですね。

サッシ周りはコーキングで
気密処理してありました。

現場は床断熱となっており、
床の合板と柱などの取り合いを
テープやコーキングを使って
気密処理してあります。

ここで素晴らしいポイント。
よく見ると、テープを貼った後に
柱周りにコーキングを打っていますよね。
実は気密材にも相性というのがありまして、
コーキングはその性質上、上からテープを
貼ろうとしてもペラリと剥がれてしまいます。
(※材質にもよります)
では逆に、テープの上にコーキングを
打つのはどうなのかというと、
切れたり剥離することも無く
特に問題は無いんですよね。
むしろ、テープの端が剥がれたり
浮きづらくなりますのでプラスに働きます。


外周部も同様に、テープ→コーキング
の順に処理が施されています。
処理の丁寧さも勿論大切ですが、
このように適材適所で気密材を選び、
使用する順にも気を付ける徹底ぶりが
良い気密へ繋がっているのでしょう。

一階の天井の外主部を見てみると、
床(合板)と胴差し、桁梁などの
取り合いにコーキングが打ってありました。
こちらは伝い漏れの対策ですね。

見て下さい、この徹底ぶりを。
取り合いという取り合い全てに
気密処理を施しています。
主に室内側で気密を確保している
パネル工法や気密シート貼りの現場などでは、
かなり伝い漏れが発生しやすいので
注意が必要な箇所です。

こちらはホールダウン金物です。
ウレタンで全体が覆われていますね。
金属である以上、熱橋が怖いところ。
温度差による結露を避けるために
こうしてウレタンで断熱処理を施し、
対策を講じている訳ですね。
もちろん、気密処理としても有効です。

お風呂周りの気密処理ですね。
画像を見るだけでは何も
思わないかも知れませんが、
こちらもよく考えて処理を
施しているのが分かります。
お風呂をぐるりと一周囲っている
ボード状断熱材の取り合いですが、
面の取り合いにはテープを使い
隅の取り合いはコーキング、
基礎との取り合いにはウレタンと
気密材を使い分けながら処理しています。

面に処理を施す場合、
何故テープが向いているとされるのか。
それは接着する面積を多く取れる上に
端から端まで粘着力や厚みが一定なため、
接着箇所全体が気密を保持する役割を
担ってくれるので耐久性があるからです。
コーキングでの処理も良いですが、
耐久性においてはテープに勝ることは
おそらく無いでしょう。
性質や粘着力、全体的な安定感。
振動や経年劣化を想定した際に、
どちらが長く持ちこたえられるか
想像に難くないでしょう。
排水管の貫通部などの取り合いを
ウレタンで気密処理しているのは、
単純に吹いた後での膨らむ性質上
隙間を埋めやすいというのもありますが、
空いた隙間の断熱力の補填という目的も
少なからずあるのではないでしょうか。

お次はこちら、接合金物のスリット。
ウレタンでスリットを埋めた後、
上からテープを貼って確実に
隙間を塞いでいて素晴らしいですね。
ならテープだけでいいじゃんと
思う方もいるかも知れませんが、
この接合金物が外気に接する位置に
あるので、温度差による結露の対策として
ウレタンでの処理が効果的なんです。
しかし、ウレタンだけでは隙間が
残ってしまうケースもあるので、
テープで塞いでしまおうという訳です。

最後はコチラ。
屋根の断熱材の端ですね。
この端の部分、見た目以上に
厄介な取り合いとなっていまして、
隙間が残りやすい要注意ポイントです。
屋根の断熱材と桁梁の取り合いは
鋭角で処理が難しくなっていますし、
屋根と壁の断熱材の間には
少し隙間が空いてしまっています。
そのため、コーキングやテープでは
処理が困難な箇所&断熱力の補填という
条件からウレタンでの処理になります。
が、ウレタンというのはその性質上
繊細な気密処理というのが出来ません。
一見隙間が埋まっているように見えても、
凹凸によって生まれた死角に隙間が
残ってしまっている場合が多いです。
対策としては、たっぷりと吹き付けて
隙間をギチギチに埋めてしまうとか
付近を覆いつくすぐらい徹底して
吹き付けるだとかでしょうかね。
とにかく、隙間が残らないように
念入りな処理と確認が大切という事です。

それでは測定を始めます。
気になる結果は…

C値=0.19cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。

決して悪い数値では無いですし、
むしろ良い数値と言っても良いですが、
現場の気密処理の具合を見ている限りでは
もっと良い気密が出てもいいはず…
そこで気になったこちらの
玄関片引き戸を目張りして塞ぎ、
どれだけ気密に影響を及ぼしているか
確認してみることになりました。
果たしてその結果は…

C値=0.15cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
40cm2 → 32cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.57 → 1.43
となっています。

この結果に、
立ち会いされた大工さんは
納得されたご様子でした。
実はこちらの現場、
先程の玄関片引き戸の他にも
引き違いの中連と掃き出し窓が
それぞれ3枚づつ、勝手口が
片引き戸の仕様となっていたりと、
建具の条件はお世辞にも良いとは
言えない環境となっていました。
ここで言う良し悪しというのは、
あくまで気密性の面だけです。
むしろ玄関片引き戸や掃き出し窓は
人の出入りや物の出し入れが楽で
機能性や利便性は高いですからね。
ただその機能性や利便性が故に
気密性の確保は難しくなっており、
今回の結果に大きく影響している
のは間違いないでしょう。
何だかんだと言いましたが、
玄関片引き戸を目張りする前でも
良い気密である事に違いありません。
広々とした大きな現場で、
建具の条件も良くない中、
これだけ良い気密を出すのは
決して容易な事ではありません。
㈱D-COLORSさまや大工さんの
努力と熱意があったからこそ
この素晴らしい結果があるのですね。