石川県珠洲市で気密測定 2025/09/04
稜です。

2025年9月4日は石川県珠洲市で
リムズワーク㈱ (LIMS WORK㈱)さまの
現場の気密測定を行いました。

中に上がります。


天井の断熱材はサーモウール (羊毛)。
壁の断熱材はパワーマックスです。
イゾベール・バリオ エクストラセーフ
という可変調湿性のシートを室内側に
貼って気密を確保しています。

サッシはYKK APW330。
樹脂ペアガラスです。

少し見づらいかも知れないですが、
サッシ周りはテープを使って
気密処理を施してあります。

現場は床断熱となっています。
床は大引きと断熱材の取り合いで
気密処理を施してある状態で、
伝い漏れを起こしやすい柱周りには
ウレタンを吹き付けて対策をしています。

排水管などの床貫通部は
コーキングで気密処理しています。


天井の気密シートを見ていると、
所々にウレタンを吹き付けてありました。
シートを使って気密を確保する場合、
ジョイント部分や床だけでなく
柱や梁などの取り合いにもテープを
貼って気密処理している訳ですが、
このような凸凹している箇所は
テープが浮いてしまいやすいんです。
しかし、テープを貼っている箇所
(気密シートの端の部分)に何か
抵抗になるような物が付いていたら、
たとえテープの粘着が弱まったとしても
簡単に浮いて剥がれてしまう事も無いでしょう。
テープが浮いてしまいやすい部分を
補強して支えてくれているのが
このウレタンという事なんです。
とても粘着の強いテープであっても
絶対に浮いたり剥がれたりしない
なんてことはありません。
そして形状や位置によっては
丁寧にテープを貼ったところで
気密を保持しにくい箇所もあります。
ウレタンやコーキングを使って
シートやテープの端を押さえて支える。
それで気密を長持ちさせられるならば
絶対にやって損はないと思いますよ。

測定を始める前に、
C値改善作業(隙間埋め)を
していきます。
大工さんが大きなFIX窓の下端に
ウレタン吹き付けて気密処理を
なさっていました。
割と漏気を起こしやすいポイント
なので、処理しておくと安心ですね。

この中に漏気を起こす可能性の
高い箇所があるんですが、
どこか分かりますか?

正解は…ココ。
なんでそんなところが…?と
思うかもしれませんが、
束柱と筋交いの間に少しだけ
隙間が空いているのが分かりますかね?
この束柱と筋交いは天井のシート
の上まで突き抜けているので、
間に出来た狭い隙間が気密ライン外に
通じる道となってしまう訳です。

似た箇所がいくつかありましたので、
側面の取り合いにはテープを貼って
鋭角な下の取り合いにはウレタンを
吹き付けることで気密処理を施しました。
隙間探しをする時は、
どういった経路で外気が侵入するかを
予想しながらだと気密を改善しやすいです。


同様に、床の合板の取り合いにも
狭い隙間が出来ていましたので、
ウレタンで隙間を塞ぎました。
気密シート貼りの現場では、
このような隙間も外気に通じて
しまう事になりますので、
外周部や天井は一通り注意して
確認&処理しておくと安心です。

天井のシートをチェックしていると
何か違和感を感じたので注視。
よく見ると、シートの端に
テープがかかっていませんね。

うん、やっぱり貼ってありませんね。
上側のシートを押さえるための
テープが紛らわしいので、
最初貼ってあるのかと錯覚しました。

しっかりとテープを貼って
気密処理を施しました。
いや、でもこれは気付けませんよ。
普通は見つからないですこんなの。
擁護とかではなく、本当に見逃しても
仕方が無いレベルだと思います。
ともあれ、気密処理出来たので
万事解決です。よかったよかった。

さて、天井といえばこちらも要注意。
シートのつなぎ目の気密を
確保するテープの浮き・剥がれ。
天井にシートを貼るのは本当に難しく、
慣れてらっしゃる方でもシワが寄る
部分が出来てしまうんですよね。

そして、シワのある箇所にテープを
貼る際には浮きが残らないように
注意しなければなりません。
見た感じ分かりづらいですが、
先程のようにシートの重なる位置に
隙間が出来てしまっているので、
このままでは漏気を起こしてしまいます。

このようにシワが寄ってテープが
貼りづらくなっている箇所は、
無理に一枚で貼ろうとせず
何枚も使って処理した方が良いです。
それも長めにテープを貼って
接着している面積を広く取れば
長持ちしやすいのでおススメです。

最後にこちら、
桁梁の接合金物のスリット。
このスリット、上から下まで
空洞となっていますので、
もし片側が外気に接していると
漏気を起こしてしまいます。
しかも、スリットの隙間が大きい分
漏気量もかなり多くなるのが怖いところ。

今回、見ての通りスリット上側が
天井の気密シートより上に来ているので、
漏気を起こす構造になっています。
しかしこれまた、上手く隠れてますね…
これだけ見つけづらい位置にあると
見逃してしまっても仕方がないです。

しかし、これを放置してしまうと
気密に大きな影響を及ぼすのは
間違いありません。
スリット内には金物が存在しているため、
外気に通じたままだと熱橋による
結露も発生してしまう恐れがあります。
気密と断熱、どちらにおいても
恐ろしいポイントですので、
絶対に処理しておきたいですね。
大工さんがウレタンを使って
スリットの隙間を塞いでくれました。

それでは測定を始めます。
気になる結果は…

C値=0.32cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.3cm2/m2。

この結果に、
立ち会いされた設計士の方は
納得されたご様子でした。
今回、色々と気密処理を施しましたが、
気密シート貼りの現場は取り合いが
複雑な上に、伝い漏れを起こす
構造の箇所がとっても多いので、
隙間を残したり見逃してしまっても
仕方がないと思っています。
その上、時間の経過でシートに
貼ったテープが浮いてしまう
ケースもよくあります。
貼った当初は全然問題無さそうでも
後からシートのシワが影響して
じわじわと浮いてしまうものです。
しかし、気密測定で隙間探しをすれば
それらをカバーする事も出来ます。
気密測定というのは
単に家の性能を測るだけでなく、
見逃してしまっていた隙間を探し出し、
改善することの出来る機会でもある訳です。
(完成時の測定では困難ですが)
何はともあれ良い気密です。
完成時の測定も楽しみですね。