石川県河北郡内灘町で気密測定 2025/11/17
稜です。

2025年11月17日は石川県河北郡内灘町で
㈱雅さまの現場の気密測定を行いました。


中に上がります。
断熱材は天井がネオマフォームと
付加断熱のグラスウール。
壁がグラスウールとなっていて、
充填前の状態となっています。

壁の面材は、画像のように
取り合いという取り合い全てに
コーキングを打って気密処理を
施してある状態です。

さらに、外壁側でも面材の取り合いに
テープを貼って処理を施しています。
外はテープで、内はコーキングで。
内外二重の気密処理という訳ですね。
気密が良くなりやすいだけでなく
経年劣化にも強くなりますので、
良い気密を永く保つことが出来ます。

天井の断熱材の取り合いも
コーキングで気密処理が施されて
いる状態となっており、
支えのJピンからの伝い漏れを
考慮してテープも貼ってあります。

サッシはエクセルシャノン製。
樹脂トリプルガラス仕様ですね。

サッシ周りは隅をコーキングで、
面をテープと使い分けて気密処理を
施してありました。
とても丁寧な処理ですね。

床は合板のジョイント部分に
テープを貼っているほか、
下の大引きと断熱材の取り合いにも
テープを貼って気密処理してあります。
こちらも壁と同様に、
二重の処理となっていますね。

そして、柱周りはコーキングで
切り欠き(溝)を埋めてありました。

柱と筋交いの取り合いです。
木と木が接触しているとはいえ、
隙間無くピッチリと密着している
という訳ではありませんので、
この鋭角な狭い部分等から伝い漏れを
起こしてしまう可能性があります。
ですので、その対策として
コーキングを鋭角な部分に詰めて
対策を講じている訳ですね。

屋根にも似たような鋭角な狭い
部分がありましたが、
こちらもコーキングで隙間無く
処理を施してありました。
こういった箇所は
非常に狭いという点から
テープでの処理は困難なので、
コーキングやウレタンを使って
処理するのがおススメです。

同じく排水管の床貫通部も
コーキングで処理されています。
コーキングを打った後に、
ヘラか何かで押さえて均しているのが
素晴らしいポイントですね。

お風呂周りの気密処理です。
断熱材や土台の取り合いに
コーキングを打っていますね。
ここでも面の部分(平な箇所)には
テープが使用されていますので、
気密材の使い分けもバッチリですね。

給湯給水管の貫通部もチェック。
間隔を空けて丁寧にコーキング
で気密処理が施されています。
こういった配管などは、
束なって密着している状態だと
それらの間に隙間が出来てしまう上に
中々処理しづらいので厄介なのですが、
このように予め間隔を空けて通せば
処理しやすいですし隙間も残りませんよね。

天井の断熱材の取り合いを
チェックしていると、
金属火打ちの固定箇所に
コーキングが打ってあるのを発見。
これは断熱材との距離が近く
処理がしづらくなっているので、
いっそのこと金属火打ちまで
コーキングで処理してしまえば
隙間を残さずに処理出来る、
という考えなのでしょう。
コーキングの消費量や
手間が増えてしまいますが、
気密を確保する為の考え方的には
とても素晴らしい処理だと思います。

二階の床(合板)と胴差し、桁梁の
取り合いやその他外周部の気密処理。
取り合いという取り合いを
徹底して気密処理していますね。
ドリフトピン表面にまでテープを
貼って気密処理してありますし、
外気の侵入経路なんて残してなるものか
という気密への執念が感じられます。

玄関土間まわりの気密処理。
土台と基礎の間に入っている
パッキンの部分にコーキングが
ミッチリと詰まっています。
気密パッキンといえど、
隅やジョイント部分などからは
漏気が発生しがちです。
このようにしっかり処理してあれば
まず漏気を起こす事は無いでしょう。


測定を始めるまでの間、
㈱雅の方々が怪しい箇所を探して
テープで気密処理をされていました。
最後の最後まで妥協しない姿勢、
とても素晴らしいと思います。

それでは測定を始めます。
気になる結果は…

C値=0.099cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。


C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
束柱の付近をチェックしていると
何やら怪しげな小さい穴を発見。
手を近づけて確認したところ、
スゥ…と空気が漏れていました。

追加でコーキングを打って
隙間を塞ぎました。
コーキングというのは、
打ってから固まるまでの間に
隙間が開いてしまう場合があり、
厚みが薄いほどその可能性は高まります。
この場合は施工箇所の形状が
複雑なので綺麗に処理するのが難しく、
コーキングが薄い部分が出来てしまい、
固まるまでの間にゆっくりと隙間が
開いていってしまったのだと思います。
処理した当初は隙間無く綺麗な
状態に見えたでしょうから、
まさか隙間が生まれているだなんて
思いもしませんよね。

お次はボルトの座彫りです。
コーキングで気密処理してあるので
一見すると問題なさそうなのですが、
確認してみると漏気を起こしていました。
(カメラの角度的に隙間は撮れませんでした…)

こちらも追加でコーキングを
打って気密処理を施しました。
ひとつ上でもお伝えした通り、
カメラに収めることも出来ないような
死角にある隙間となっていますので、
人間の目にはまず映らないでしょう。
こういった目視では隙間が空いているか、
空いていたとして外気まで通じていて
漏気を起こすか判別できない場合でも、
気密測定の最中なら実際の漏気の有無を
確認することが出来るので効率的です。

最後に屋根の断熱材の取り合いに
打っているコーキングが一部
切れてしまっているようで、
漏気がそれなりにありましたので
テープを貼って気密処理しています。
取り合いの形状的に、
追加でコーキングを打つよりも
テープを貼った方が気密を取りやすく、
かつ長持ちするという判断です。
シリコンコーキングの場合はテープとの
相性が最悪なので、上からテープを貼って
補強するのはおススメ出来ないのですが、
変成シリコンやウレタン系のコーキングの場合は
表面がツルツルしておらず粘り気があるので
重ねて貼ることが可能です。
今回は粘り気のあるコーキングなので
貼ったテープもしっかりと仕事してくれます。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…

C値=0.076cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
13cm2 → 10cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.11 → 1.04
となっています。

この結果に、
立ち会いされた㈱雅の中井代表は
満足されたご様子でした。
束柱の近くに空いていた小さい穴も
座彫りや断熱材の取り合いに打った
コーキングについてもそうですが、
普段目視で見つけるのは困難でしょう。
しかし、気密測定を行う事によって
普段は忙しくて気にかけないような箇所を
改めて確認する機会を設けることが出来ます。
普段と同じ気密施工をしていても
思いもよらぬ所に隙間が残って
しまっている場合もありますので、
もしもの保険として気密測定を実施する
のも良いのではないかと思います。
ともあれ、素晴らしい結果。
もうすぐ雪が降り始めそうですが、
これだけ良い気密であれば冬でも
快適で暖かい家になりそうですね。

