石川県金沢市で気密測定 2025/12/17
稜です。

2025年12月17日は石川県金沢市で
LINX㈱さまの現場の気密測定を行いました。


中に上がります。
天井と壁の断熱材はグラスウール。
充填前の状態となっています。


天井と壁は室内側の取り合いに
コーキングを打って気密処理を
施してありました。
画像を見れば分かる通り、
取り合いという取り合いに
コーキングを打っていますので、
途轍もない手間と時間がかかっています。

そしてこの太さですよ。
私の指と同じぐらいの太さ。
コーキングというのは
太ければ太いほど良いですからね。
接着する幅を広く取れますし
厚みがある分切れづらくなります。
勿論、押さえる事も重要です。
この太さを保ちつつ処理した結果、
なんと使用したコーキングの本数は
200本ほどにもなるんだとか。
これだけで、気密への熱意や想いが
ヒシヒシと伝わってきますよね。

外壁側でも面材の取り合いにテープを
貼って気密処理を施してありますので、
内外二重の処理となっています。
この二重の処理の良い点は、
単純に気密が良くなりやすいだけでなく
何処かに隙間が生まれたり残っていたり
したとしても、もう一方の気密が
しっかりと確保できていれば
良い気密を保てるという点。
気密というのは、木の収縮や
経年劣化、振動などの要因によって
隙間が生まれ、少しずつ悪くなって
しまう可能性がありますので、
それらに負けない強固な処理を施す事が
良い家を創るうえで重要なのだと思います。


サッシはリクシルのEW。
樹脂ペアガラス仕様です。
サッシ周りも窓台やまぐさの
取り合いまでしっかりとコーキングで
気密処理が施されていました。

床は合板の取り合いにビシッと
テープを貼って気密処理してあります。
テープを貼ってある間隔が短いので
何故だろうと疑問に思ったのですが、
どうやら床に釘を打った箇所からの
伝い漏れの対策をしているようですね。
微量の漏気すら許さないという
執念のようなものを感じます。
この気密にかける想いの強さこそが
とても良い気密の家を創るために
不可欠なのでしょうね。

柱周りにもテープを貼っているうえ、
切り欠きの部分にはコーキングを詰めて
気密処理を施してありました。
この柱周りに貼っているテープは
釘からの伝い漏れ対策だけではなく
他の目的もあるんですよね。

まず前提としまして、
画像を見て分かる通りテープの上から
コーキングを打って処理を施しています。
これは使用するコーキングの
種類にもよるのですが、
特にシリコンコーキングの場合は
表面がツルツルとした材質のため
上からテープを貼ることが出来ません。
しかし、逆にテープを貼った
箇所にコーキングを打つ分には
特に問題ありませんので、
このような手順で処理している訳です。

気密処理はこれで終わりなのですが、
床材や壁のボードなど後工程を考慮すると
テープの上に乗っかっているコーキングの
厚みが邪魔になってくるんですよね。
ここでのコーキングは切り欠きを
埋めるための処理ですので、
テープに掛かっている分は必要ありません。
ですので、このはみ出た余分な
コーキングを取り除くのですが、
床の合板に付いたコーキングよりも
テープに付いたコーキングの方が
かなり取り除くのが楽なんですよね。

ほらこの通り、
とっても綺麗になりました。
合板に打った釘からの伝い漏れ
対策として貼っているテープですが、
後の処理を楽にする役割も兼ねているんです。

この床の合板と土台と面材の
狭めな取り合いも、
しっかり丁寧に処理してあります。
狭い箇所って、どうしても
いい加減な処理になりがちですが、
妥協することなく徹底して綺麗で
丁寧な処理を施しているのは
本当に素晴らしいと思います。

壁のスリーブ貫通部です。
周りに丁寧にコーキングを打って
気密処理してありますね。

こちらのPF管の周りも
同様にコーキングで気密処理。
一つ一つ間隔を空けて通してあるので、
綺麗に処理できるのが良いですね。

玄関土間周りもこの通り。
土間の断熱材の取り合いをはじめ、
気密パッキンや土台の取り合いを
テープやコーキングを使って
とても丁寧に気密処理してあります。


こちらは下屋の梁と梁の間の処理。
これだけ狭いと処理するのも
かなり大変だと思いますが、
二枚目の画像を見れば分かる通り
きちんとコーキングが入っています。

こちらはサッシ上部のまぐさと
胴差しの間の気密処理です。
(見づらくてスミマセン…)
先程の梁と梁の間の隙間より
さらに狭くなっているため、
ウレタンを吹き付けた後に上から
テープを貼って処理しています。
狭くて奥行きがあったり隙間が大きくて
処理がしづらい箇所は、ウレタンを使えば
効率的に隙間を埋めることが出来ます。
さらに保険としてテープを貼って
完全に塞いでいるのはとても良いですね。
これ以上ないってぐらいに完璧な処理だと思います。

測定を始める前に、
何かないかと隙間を探していると
一ヶ所だけ漏気箇所を発見しました。
こちらは羽子板ボルトの貫通部。
外周部に位置するわけでは無いので
気密処理はしていなかったようです。
本来この貫通部の反対側は室内
なので問題ないはず。
しかし、間違いなく漏気している…
これはいったいどういう事でしょうか。

角度を変えて確認してみましょう。
中央より少し右に見えるのが
問題の羽子板ボルトです。
この画像では分かりづらいかも
しれませんが…
桁を境界として天井の高さが
少しだけ違っているんです。
この少しの高低差が漏気の原因です。

本来であれば室内と室内を
繋ぐだけの隙間なんですが、
この少しの高低差によって
気密ラインが変わっているため、
羽子板ボルトの貫通部の反対側は
外気に通じるようになっていた訳です。
…う~ん、説明が難しい。
正直、これは見逃しても仕方ないです。
私も気密測定器で減圧している状態で
実際に漏気が確認できたので外気に
通じている隙間だと分かりましたが、
目視だけじゃ普通分かんないですよ。
しかし、こういった隙間を
そのまま逃してしまわないためにも、
気密測定を実施し隙間探しをするなど
対策を講じることは出来ます。

それでは測定を始めます。
気になる結果は…

C値=0.048cm2/m2の
ウルトラ気密です!
表示は四捨五入により0.0cm2/m2!

この結果に、
立ち会いされた橋本代表は
満足されたご様子でした。
羽子板ボルトの貫通部から
少量の漏気はあったものの、
αA (家全体の隙間面積)は 5cm2、
n値 (隙間特性値 範囲1~2)は 1.00 という
途轍もなく素晴らしい結果となりました。
掃き出し窓などのサッシには
少なからず隙間がありますので、
それを考慮すると躯体の隙間は
ほぼゼロなのではないでしょうか。
橋本代表や大工さんが
気密に対する並々ならぬ想いと
こだわりと持っている上に、
それを叶えるための技術や経験があり、
徹底した気密処理を施すべく努力を
なさっているからこそ成しえる訳です。
段々と寒くなっていますが、
これだけ良い気密の家であれば
暖かく快適な暮らしが出来ますね。

