石川県羽咋市で気密測定 2024/05/09
稜です。
2024年5月9日は石川県羽咋市で
㈱D-COLORSさまの現場の
気密測定を行いました。
玄関ドアは片引き戸となっているようです。
気密に影響しない事を祈ります。
中に上がります。
現場はパネル工法です。
断熱材は天井・壁・床ともに
ネオマフォームとなっています。
パネルの取り合いを見てみると
テープで気密処理してありますね。
室内側の取り合いだけでなく
さらに外側の取り合いにもテープを
貼って気密処理されているので、
内外二重の気密処理となっています。
屋根や天井の断熱材の取り合いは
テープとコーキングで処理されています。
平面はテープ、隅はコーキングと
使い分けて気密処理している所に
気密への理解とこだわりを感じます。
サッシはYKK APW330。
樹脂サッシがメインとなっております。
ただ大きな掃き出し窓に関しては、
リクシルのサッシを入れているようです。
デザイン性を重視すると、
框の幅も採用基準になりますよね。
チェックしていきます。
サッシ周りはコーキングで
気密処理されていますね。
クリアなので見えづらいかもしれませんが、
隅の所までしっかりと処理してあります。
お風呂周りもチェック。
配管の貫通部はウレタンで
気密処理してありますし、
断熱材の取り合いはテープで
しっかりと気密処理されています。
梁の金物のスリット部分も
ちゃんと気密処理してありますね。
構造上隙間が大きいので、
その分漏気量も多くなります。
外気に繋がっている箇所は
確実に処理しておきましょう。
ピンやボルトも処理してありますし、
なりより平面はテープ、隅はコーキング
というのを徹底しているのは
とても良いですね。
測定を始める前に、
少しC値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
屋根の断熱材の気密処理を
チェックしていると、
隅の部分のテープが浮いてしまって
いるのを発見しました。
この場合、テープを貼った箇所でいうと
辺よりも隅の方がかなり浮きやすい。
テープを貼る際には、
貼る箇所の形に添ってピッチリ貼る
というのが非常に大切です。
こういった場合はただ押さえるのではなく、
追加でテープを貼る方が効果的です。
接着面積が増えれば増えるほど、
支える力も大きくなりますので。
テープを貼る際に大切な事は
・貼る箇所の木くずや塵をよく払う。
・貼る箇所の形に添うようにピッチリと貼る。
・接着面積を出来るだけ増やす。
など。
長持ちさせる事が前提ですので、
テープの選定も非常に重要です。
こちらも屋根の断熱材の取り合い(入隅)。
コーキングが打ってあるのですが、
隙間が出来てしまっている箇所が
何点か見受けられました。
上から更にコーキングを打って
気密処理をしたいと思います。
ただ通常とは違い、
既に打ってある分のコーキングで
処理する予定の箇所が凸凹しているので、
ただ打つだけでは隙間が埋まりにくい。
そこで、追加で打った分の
コーキングを上から指でなぞります。
こうすれば埋まりにくい小さな隙間まで
コーキングが押し込まれていきますので、
ミッチリと埋める事が可能です。
指だとベタベタになって大変なので、
ヘラなどを使うとさらに良いと思います。
こちらはホールダウン金物の床貫通部。
根元にウレタンを吹き付けてあるので
一見問題なさそうに見えますが…
実はこの先端のバツ印のような
切り込み部分から漏気が起こります。
絶対に漏気するという訳でもありませんが、
今回は測定器で減圧した状態で
手を近づけてみたところ、
風がスゥ…と出ているのを感じました。
実際に漏気するのかを確かめられるのは
気密測定のメリットですね。
先程と同様に、コーキングを打った後で
上からなぞって隙間を確実に埋めます。
こういった隙間というのは、
奥に詰めれば詰めるほど良いです。
表面だけでは揺れや劣化により
コーキングに亀裂が入って隙間が
生まれてしまう可能性がありますが、
奥まで詰まっていればいるほど
接着面積が大きくなり耐久性が上がります。
溝や穴などの気密処理を行う際は、
ウレタンやコーキングを奥まで
詰めることを意識するべきです。
それではそろそろ測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.31cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.3cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
こちらはパネルの断熱材の取り合い。
よく見るとコーキングは打ってありますが、
端の方が切れてしまっていますね。
屋根の断熱材の取り合いと同様に
コーキングを打ってから指でなぞり、
小さな隙間まで埋めました。
コーキングが切れていても
漏気していなかったりしますが、
今回は実際に漏気していましたので
しっかりと気密処理しておきました。
漏気しているか分からないけど
怪しいなぁ…って思う隙間があれば、
とりあえず埋めることをおススメします。
実際に漏気しているか確認できない場合には
対策方法は他にありませんので。
天井の断熱材の隅が一ヶ所だけ
グニャっとなってしまっていて、
漏気を起こしてしまっていたので
ウレタンを吹き付けて気密処理をします。
凹んでいる部分を埋めるように
気密処理をしますが、
天井に多量のウレタンを吹き付けると
重さに耐えきれず下にボトボト
落ちてしまう場合があります。
下が既にフローリングを敷いていたり
ですので、このようにテープ等で
受けを作っておくと、
安心して吹き付けられます。
凹んでいた部分をなるべく
奥からウレタンで埋めましたので、
断熱的にもプラスに働いてくれると思います。
こちらの現場は広く大きな勾配天井と
ロフトがあるのですが、
このロフトより奥は下屋となります。
そうした場合、この取り合いが
気になってくるんですよね。
この桁と一階の天井(合板)の
取り合い部分です。
説明しやすくする為に
以降この取り合いを①とします。
パネル工法や気密シート貼りの現場では、
この①が要注意な箇所でして…
もし下屋部分の気密ラインの方が
①よりも低い位置にある場合、
①の向こう側は完全に外となります。
しかし、この関係性を理解できていないと
気密処理せずに放置してしまい、
その結果柱の切り欠きなどを道として
外気が室内へと侵入します。
グダグダと分かりづらい説明に
なってしまいましたが、
つまりは高さの関係によって気密処理
しなければならないか否かが決まります。
しかし、今回チェックをしてみたところ
漏気は全然感じられませんでした。
大工さん曰く、パネルの外側に
テープを貼って処理したのと同様に、
この下屋部分の取り合いも外側で
気密処理していたとの事です。
通りで漏気していないわけですね。
ただ念には念を入れよという事で、
室内側の取り合いまでしっかりと
コーキングで気密処理して下さいました。
これでまず漏気する事は無いでしょう。
安心できたところで、再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.27cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.3cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
42cm2 → 37cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.37 → 1.26
となっています。
この結果に、
立ち会いされた大工さんは
納得されたご様子でした。
最初に測定した時点でも
何か所か改善出来ていたはずですが、
今回でさらに5cm2 埋まったようですね。
少し心配だった片引き戸は
漏気はそれなりにあったのですが、
それも考慮すると躯体の気密として
かなり良い数値になっていると思います。
パネル工法は気密処理しなければ
ならない箇所が非常に多い上に、
取り合いが複雑で大変なことも
あるとは思いますが、
それでもこれだけ良い気密を出せるのは
偏に㈱D-COLORSさまや大工さんの
気密への理解と努力があるからこそでしょう。
素敵なデザインの家で
気密が良くて暖かいならば
快適に生活が出来るでしょうね。