福井県福井市で気密測定 2024/04/08
稜です。
2024年4月8日は福井県福井市で
㈱ナチュレホームさまの現場の
気密測定を行いました。
中に上がります。
天井の断熱材はセルロースファイバー。
現時点では吹き付けてありませんが、
後にこの気密シートの上にモコモコと
セルロースファイバーが敷き詰められます。
壁の断熱材もセルロースファイバー
となっているのですが、
こちらは天井とは違い柱の厚み程度しか
吹き込むことが出来ません。
そこでこちらの現場では、
外壁側にネオマフォーム45mmを貼ることで
断熱性能を上げる付加断熱仕様となっています。
サッシはリクシルのEW。
樹脂トリプルガラス仕様です。
チェックしていきます。
サッシ周りはテープで気密処理
されています。
さらに隅にはコーキングが。
これはテープの浮き防止対策
の処理でしょうかね。
現場は床断熱となっています。
床の合板のジョイントにテープを貼って
気密処理してありますね。
柱周りはコーキングで気密処理。
こちらの処理の素晴らしい点は、
テープを貼った後でコーキングを
打っているという点ですね。
いくら粘着性の高い気密テープと言えど、
コーキングの上から貼ろうとすると
簡単にペラペラと捲れてしまいます。
しかし手順をテープ→コーキングと
する事によって、
テープとコーキングの両方が
しっかりと役割を果たしてくれます。
むしろ、テープの端が浮いたり
剥がれたりすることも無くなるので、
メリットが盛り沢山です。
気密処理をいうのは、
処理をする際の順序も大切です。
柱と筋交いの取り合いの処理。
これも本当に丁寧で細かい処理が
施されていますね~!
まずは柱と筋交いのジョイント部分
(平面)にテープを貼って気密処理。
そして先程の柱周りと同様に
テープに重なるように上からコーキング、
さらに上部の鋭角な隙間や反対側の
入隅なども徹底的に処理する事で、
テープを浮かせず逃げ道を潰す
完璧な気密処理が完成する訳ですね。
そもそも気密処理をするにあたって、
ウレタンやコーキングやテープの
どれを使えばいいか分からない…
と悩んでいる方いませんか?
あくまで個人的な考えですが、
床などの平面や広めのL字の隅はテープ、
繊細な狭い箇所や入隅などはコーキング、
大きな隙間や物と物の間などはウレタンと
使い分けて処理する事が非常に大切です。
勿論、絶対にそうでなくてはならない
というわけではありませんが、
処理のしやすさや効きやすさを考慮して
使い分けるというのが、
長持ちする良い家を建てるために
重要なポイントだと思っています。
例えばこちらのお風呂周りも
しっかり使い分けされていますよね。
上部の外周や床の断熱材の
ジョイント部分はテープで、
入隅や給湯給水管の貫通部などは
コーキングで処理されています。
給湯給水管の貫通部。
まとめて管を通している箇所では、
管同士の間に処理するのが困難な
狭い隙間が出来てしまいがちです。
しかし、こちらは少し間隔を空けつつ
中心部にミッチリとコーキングが
詰まるように意識された処理となっています。
こういった一つ一つの繊細な処理が
気密の良い家づくりに必要なのでしょう。
気密シート貼りの現場と言えば、
こちらの処理は欠かせません。
二階の床と胴差し、梁などの取り合い。
丁寧かつ太めにコーキングが打ってありますね。
何故あのような処理が必要かというと、
画像のように二階で気密シートや
テープで止めた空気が、
シートの内部から柱の切り欠きなどを
逃げ道として一階へと逃げてしまうからです。
この伝い漏れの対策として、
一階から取り合いをコーキングで
気密処理をしていたという訳です。
下屋がある現場の場合は、
二階の外周部ラインを意識して
気密処理する必要がありますので
ご注意ください。
二階の床にもテープが貼ってありますね。
壁の気密シートを降ろした箇所
(外周部)だけではなく、
その付近の取り合いまで処理してあるのは、
合板同士の間に出来ている隙間から
伝い漏気を起きる可能性があるからです。
(画像は別の現場です。
参考画像としてご覧ください。)
こんな感じに隙間が出来ていると
ここから伝い漏れが起こります。
空気の逃げ道を残さない為にも、
上でテープを、下でコーキング
処理をしていた訳です。
本当に徹底された処理ですね。
素晴らしいです。
天井のシートの気密処理。
こちらも一階の床と同様に、
一通りテープで処理した後で
コーキングを打っています。
テープを浮きにくくするために
端の箇所は重ねを多くとっていますね。
天井と床の配線貫通部。
お風呂の給湯給水管の貫通部
の過程で説明しましたが、
配線配管は束ねて通すと
その間に隙間が出来てしまいがちです。
それを理解しておられるので、
一本一本間隔を空けて通してから
気密処理をしているのですね。
現場の入隅を見てみると、
木と木の取り合いにコーキング
が入っていました。
木と木の取り合いはビチッと
当たっているように思えますが、
案外漏気が起こったりします。
このように丁寧な処理が
施されていれば、
まず漏気の心配は無いでしょう。
玄関もとても丁寧な処理。
どこを見ても、
基本的にテープの気密処理の後で
コーキング処理をしてありますので、
本当に考えられていますね。
しつこいかもしれませんが、
ここまで徹底して繊細かつ丁寧に
気密処理をしている現場は
中々見られないと思います。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.058cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
もう既に素晴らしい気密ですが、
少しでもより良く出来るように
C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
壁の気密コンセントボックス。
配線貫通部からほんの少し
漏気があったようです。
目で見ただけでは隙間が出来ているのか
判別が付かないほどなんですが、
測定器を使って減圧している最中は
漏気の有無によって隙間を
探して見つけることが出来ます。
コーキングを打ってから
ヘラを使って上からなぞります。
ただコーキングを打つだけでは
あまり効率的な処理とは言い難いです。
ヘラや指で押さえたり広げる事で
ミチミチと隙間が埋まっていき
接着面積も増えます。
接着面積が増えればその分
切れたり取れたりしにくくなるので、
経年劣化にも強くなります。
壁のシートの配線貫通部。
線同士を少し離しながら
処理してありますので、
あまり問題なさそうなのですが…
さらにコーキングを打って
補強するとの事です。
コーキングを打ってから
ヘラを使って均していきます。
先ほどもお伝えしましたが、
ただ打つのではなく、その後なぞって
押さえる工程が本当に大切です。
大工さんが胴縁にテープを
貼ってらっしゃいます。
何かあったのでしょうか?
大工さんに何をしているのか尋ねてみたところ、
釘を打った際に胴縁が割れてしまい
この割れの隙間から漏気しないか
危惧されていたそうです。
確かにシートを貫通している都合上、
僅かに漏気する恐れはありますが…
そこまで考えてらっしゃるとは
気密へのこだわりが凄まじい。
このこだわりや向上心は、
私も見習わなければなりませんね。
最後に隅で漏気している箇所が
何か所かあったようですので、
その気密処理をしています。
一ヶ所からの漏気が少ないですが、
それが何か所もあればそれなりの
漏気になっていまいますし、
油断してはなりません。
こちらも勿論、コーキングは
ヘラでなぞって押さえます。
工程が増える分、手間と時間が
かかってしまうと思いますが、
気密の良い家を建てるのであれば
ぜひ実践してみてほしいです。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.051cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
8cm2 → 7cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.16 → 1.12
となっています。
この結果に、
立ち合いされた社長は
納得されたご様子でした。
今回は、αA (家全体の隙間面積)が
1cm2 のみの改善という結果でした。
あともう 1cm2縮まっていれば、
C=0.0cm2/m2表示だったのですが…
やはり悔しいですね。
とはいえ、とても素晴らしい気密で
あることに間違いありません。
丁寧かつ徹底した気密処理で、
尚且つさらに気密を良くしようとする
向上心を忘れない㈱ナチュレホームさま。
ここまで想いを込めて建てられた家ならば、
住まわれるお施主様も幸せな事でしょう。