石川県金沢市で気密測定 2024/04/17
稜です。
2024年4月17日は石川県金沢市で
㈱建匠さまの現場の
気密測定を行いました。
こちらは福田康則建築計画さまが
設計された現場となっています。
中に上がります。
屋根・壁の断熱は
ウレタン吹き付け断熱と
なっています。
サッシはリクシルのサーモスHと
特注のサッシとなっています。
…いやコレ凄いですね。
最初は店舗か?と思いましたが、
普通に一般の住宅だそう。
ひぇ~!ものっそいデザインですね~!
チェックしていきます。
サッシ周りはコーキングで
気密処理されています。
特注のサッシ周りもしっかりと
コーキングで処理してあります。
まぐさと柱、間柱の取り合いも
丁寧にコーキングで処理。
というよりもこちらの現場、
胴差しと柱のジョイント部分や
梁や桁の取り合いなどいたることろが
コーキングで気密処理されています。
下の画像を見れば分かりますが、
ピンの所まで処理されています。
極めつけは柱の節にまで
コーキングをねっちりと塗って
処理してあるという…
(見づらかったらスミマセン。)
こちらのコーキング処理は全て
監督さんが担当されているそう。
途方も無いような処理が
施されていますね。
ここまで来ると、
気密に対する想いと言いますか、
執念というものを感じます。
現場は床断熱となっています。
床の合板の取り合いは
強力な粘着性が特徴のテープ、
WURTH製の『ユラソール』が
使用されています。
柱周りはコーキングで気密処理。
本当に丁寧な処理ですね~。
排水管などの床貫通部も
コーキングで気密処理されています。
あれ…?よく見ると
床に貼ってあるテープが
途切れているような…
と一瞬疑問に思ったのですが、
実はコレ、ビスを打った箇所の
上からテープを貼ってあるんですよね。
いや~本当に細かい処理。
確かにビスを打った箇所から
僅かに伝い漏れが起きる可能性は
否めませんが…
ここまでの処理が中々お目にかかれません。
コレは完全に自論ですが、
このようにビスを打った箇所の
上からテープを貼る場合、
一点ずつ貼っていくよりも
一列まとめて貼った方が
その分辺が減り、接着面積が増えるので
浮きや剥がれる要素が少なくなり、
経年劣化に強くなると思っております。
外からチェックしていると、
配線が完了したCD管が
コーキングで埋めてありました。
既に配線が完了したCD管やPF管は
早いうちに気密処理しておくことを
おススメしたいですね。
処理を後回しにして竣工まで
忘れたままにしてしまうと、
直そうにも直せない箇所が出来て
後悔してしまう可能性もありますので。
二階の床と胴差しや梁などの
取り合い部分がウレタンや
コーキングで処理されています。
(よく見ると節にもコーキングが…)
この取り合いは伝い漏れが
起きがちな箇所なので要注意です。
工法や気密ラインにもよるのですが、
ウレタン吹き付けや室内側に貼ったシートで
気密を確保している場合は
それに該当する場合が多いので
処理する事をおススメしたいです。
気密ラインによる所が多いので、
下屋部分がある現場では
特に注意して見て欲しいですね。
いっつもお伝えしていますので
そろそろしつこいと言われそうですが、
下側で頑張って処理をしたというのに
上側から漏れてしまっては意味がありませんよね。
画像のように柱の切り欠きなどは
伝い漏れの起きる道が残りやすいので、
上下でサンドイッチする気密処理が
とても大切なんです。
合板と合板の間に出来た隙間を
伝って漏れてしまうこともあるので、
根元の部分(切り欠き)をウレタンや
コーキングで埋めてしまえば
道を潰しやすくなるので
これもおススメしたいです。
上部の造り付けサッシの付近を
チェックしてみると、
胴差し(梁)のスリットの部分に
コーキングをミッチリと詰め込んで
気密処理をしてありました。
この場合は半分ほどサッシに
かかっていますので、
伝い漏れの対策として
素晴らしい処理となっています。
他にも天井の気密ラインの関係で
ツーツーに外気と繋がる道と
なってしまう場合もあります。
隙間が大きい分漏気量も多くなり、
ここから結露が発生してしまう
可能性もありますので本当に注意です。
測定を始める前に、
監督さんが掃き出し窓の調整を
して下さっています。
引き違い窓というのは、
スライドして動かす構造上の問題で
上下のレールの部分や召合わせの部分
に隙間が出来てしまいがちなので、
サッシの中でも比較的漏気が
起こりやすいのが現実です。
特に掃き出し窓などの大きい
引き違い窓ともなると、
その分隙間が多くなります。
しかし、調整次第では隙間と
漏気量を減らすことも出来ます。
お施主様に引き渡しをするまでには
一度サッシの調整をする事を推奨します。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.22cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.2cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
どこだどこだと探していると、
外部物入の土間部分から
光が差し込んでいました。
どうやら水抜き穴が一つ
空いていたようです。
外側からウレタンを吹き付けて
穴を埋めました。
室内側からもチェックしましたが
もう光は入り込んでいません。
これで安心ですね。
ついでに外部収納の開き戸を
チェックしていると、
土台付近の取り合いにコーキングが
入っていない箇所がありました。
コーキングを打って気密処理します。
一応打ってあるのですが、
入り切っていなかったようです。
暗い状態では見過ごして
しまいそうな程の隙間ですので、
実際に漏気が無いかチェックしながら
隙間探しを出来るのが気密測定時の
大きなメリットでは無いでしょうかね。
今までの画像を見ていれば
既にお気づきの方もいらっしゃると
思いますが、
こちらの現場には煙突があります。
この煙突周りの気密処理は
結構大変だったりします。
監督さんが丁寧に処理して
下さっていましたが、
一部の取り合いから伝って
漏気が起こっていました。
隅の取り合いにコーキングを
打って処理してありましたが、
端の部分は処理していなかったので
伝って漏れてしまったという訳ですね。
端の部分にもしっかりと
コーキングを打って気密処理
をして下さいました。
さて、それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.14cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
25cm2 → 16cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.47 → 1.16
となっています。
この結果に、
立ち合いされた福田康則さんは
満足されたご様子でした。
空いたままだった水抜き穴を含め、
9cm2 分の隙間が埋まったようです。
n値もちゃんと良くなっています。
監督さんがここまで丁寧で
徹底した処理をされているというのに、
良い結果を残せなかったら
罪悪感が生まれていたと思うので
正直ホッとしております。
まるで店舗かと見紛うほどに
素敵で面白い設計の家。
こんなに素敵なデザインで
気密も良くて暖かい快適な家だなんて、
とっても贅沢な事じゃありませんか?