石川県金沢市で気密測定 2025/02/05
稜です。

2025年2月5日は石川県金沢市で
㈱zuiunさまの現場の気密測定を行いました。


中に上がります。

屋根と壁の断熱は共に、
ウレタン吹付断熱となっています。

サッシはYKK APW330。
樹脂ペアガラス仕様です。

排水管の床貫通部です。
現場は床断熱となっていますので、
床を貫通する箇所は気密処理を
しておく必要があります。
コーキングで丁寧に処理してありますね。

測定を始める前に、
玄関ドア周りの怪しい箇所を
隙間埋めしていきます。
まずは玄関ドア下端の取り合い。
モルタルでビッチリ埋まってそうな
イメージがありますが、
案外隙間が残ってしまっているものです。
ここはコーキングで処理をしました。

次は玄関ドアと窓まぐさの間に
出来ている隙間を埋めます。
先ほどはコーキングを使って
気密処理していましたが、
こちらは隙間が大きいので
ウレタンを使っています。
ウレタンは吹き付けた後に
モコモコと膨らむ性質がありますので、
大きな隙間などを埋めるのには
とても適しているんですよね。
対してコーキングは膨らみませんが、
その分繊細な処理が可能ですので
小さな隙間や狭い隙間を綺麗に
埋めることが出来ます。
つまりは処理する箇所によって
気密材を使い分けることで、
効率を上げられるという訳です。

例えばこちら、
玄関ドア上部に配線の貫通部が
空いていましたのでウレタンを
使って気密処理をしています。
ここで大工さんはウレタンを
選んで処理なさっていましたが、
この場合は隙間が大きめで
奥行きもあるので膨らむウレタンを
使用した方が埋めやすいですよね。
ちなみにウレタンとコーキングの他に
よく使われる気密材のテープも交えて
各箇所の気密処理適正度を比較すると、
・隙間(大)
ウレタン ≫ コーキング ≧ テープ
・隙間(小)
コーキング ≧ ウレタン、テープ
・狭い箇所にある隙間
ウレタン > コーキング ≫ テープ
・面
テープ > コーキング ≫ ウレタン
・隅
テープ ≧ コーキング > ウレタン
って感じでしょうかね。
ウレタンやテープは極端な感じで
コーキングはバランスの良い印象です。
(分かりづらいかも知れませんがご容赦願います。)

さて、それでは測定を始めます。
気になる結果は…

C値=0.11cm2/m2の超高気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。

C値改善作業(隙間埋め)
をしていきます。
掃き出し窓の左下端辺りから
僅かに漏気がありました。

ウレタンを使って気密処理
をしていきます。
サッシ周りは漏気を起こしやすいので
油断大敵な箇所ですね。

次は登り梁の接合金物のスリット。
画像を見ると分かると思いますが
梁が屋根のウレタンと同じ高さにある為、
もしもこの上に外気に通じる隙間があれば
このスリットを通じて漏気が発生します。
手を近づけて確認してみると、
やはり漏気が起こっていました。

スリットの中にウレタンを吹いて
気密処理を行いました。
この場合、単に漏気だけでなく
接合金物の熱橋も不安な要素なので、
ウレタンでしっかりと埋めておくのが
最適な処理と言えるでしょうね。


その付近にあった謎の隙間(?)
確認して見たところ漏気していたので
ウレタンを吹き付けて埋めました。
隙間の形状から察するに、
何か定規などが刺さったのでしょうね。
ウレタンは柔らかいので何かの拍子に
ザクッと穴が空いてしまっても
気付けない事も多いと思います。
ですので、怪しい隙間を見かけた際は
なるべく埋めておいた方が良いです。


こちらも接合金物のスリットです。
位置的に外部収納に通じているので、
こちらでも漏気が発生していました。

ウレタンを使ってスリットを埋めます。
接合金物のスリットって屋根や天井
ばっかり気になるものですが、
こういった二階の床に位置する箇所からも
漏気するケースがありますので、
オーバーハングしている部分のある
現場では注意した方が良いです。


最後に床外周部にある柱の切り欠き。
これも案外漏気を起こしやすい箇所なので
処理しておく事をおススメします。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…

C値=0.077cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
16cm2 → 11cm2
となっています。

この結果に、
立ち合いされた設計士さんは
納得されたご様子でした。
結果として、
αA (家全体の隙間面積)が5cm2の改善。
やはりスリットの部分を埋めたのが
改善に繋がったのかと思います。
接合金物のスリットに関しては、
ウレタン吹き付けの現場だけでなく
パネル工法や気密シート貼りの現場でも
ありがちな漏気箇所ですので、
要チェックなポイントの一つです。
それと実はこちらの現場、
玄関ドアに片引き戸を採用していて
漏気も少なからずあったのですが、
それでいてこのレベルの気密なんですよね。
大工さんや関わっている業者さんが
丁寧な仕事をされているからこそ、
これだけ良い気密になっているのでしょう。