石川県かほく市で気密測定 2025/02/28

稜です。

2025年2月28日は石川県かほく市で

㈱桐工房さまの現場の気密測定を行いました。

外壁を見てみると、

WURTH製の高耐久透湿防水シート

『ウートップ ハイムシールド』

が貼ってありました。

 

白や銀色の防水シートが多い中で、

これだけ黒いと目立ちますね~。

中に上がります。

 

現場はパネル工法となっています。

内外のパネルのジョイント部分に

テープを貼って気密処理してあるようですね。

 

内か外の片側だけでなく、

両方で気密処理してあるので

安心感が違いますね。

天井と壁の断熱材はネオマゼウス。

 

天井は断熱材と桁梁との取り合いに

コーキングを打って処理してあり、

反対の外気側でもテープを貼ってある為、

内外二重の気密処理となっています。

 

よく見ると、断熱材を支えるピンを

覆い隠すようにテープが貼ってあります。

 

これが意外と伝い漏れを起こす

可能性がある箇所でして、

その対策までバッチリのようですね。

サッシはYKK APW330。

樹脂ペアガラス仕様です。

サッシ周りはコーキングや

ウレタンで気密処理してあります。

現場は床断熱となっています。

画像の通り、合板のジョイントに

テープを貼って気密処理してあるのですが、

なんとこの合板の下、大引きと断熱材の

取り合い部分でも気密処理してあるそうです。

 

ここでも二重の気密処理とは…

㈱桐工房さまがどれだけ気密に

重きを置いているかが分かりますね。

もちろん、柱周りもしっかりと

気密処理してあります。

 

この気密処理の良いところが、

使用する気密材の順序です。

この場合、テープ→コーキングと

なっているのが素晴らしい点です。

 

通常、既にコーキングが打ってある箇所に

上から気密テープを貼ろうとすると、

直ぐにペロンと浮いたり剥がれたり

してしまいます。

 

こんなこと言っておいて

別に問題なかったらどうしようと、

先日別の現場で試したことがありましたが

案の定コーキングの上に貼ったテープは

全く機能していませんでした。

(テープやコーキングの材質などにも

よると思います。)

 

折角丁寧にテープ処理を施しても、

浮いたり剥がれたりしては

意味がありません。

 

時間や手間を無駄にしないように、

しっかりと気密を保持させるために、

使用する気密材の組み合わせと順序は

気を付けたいですね。

床の排水管貫通部は、

コーキングで処理してありました。

 

とても綺麗に、かつミッチリと

処理されていて素晴らしいです。

 

ここでコーキングの使用量を

ケチって処理してしまうと、

後から経年劣化などによりコーキングが

切れて隙間が生まれてしまうので、

厚めかつ丁寧に処理する事をおススメします。

壁のパネル貫通部をチェック。

かなり厚めにコーキングを打って

気密処理してありますね。

 

これだけしっかりしていれば

簡単に切れる事はありませんので

安心できますね。

 

それによく見てみると、

二階の合板と胴差しなどとの

取り合いにもコーキングを打って

気密処理を施しているようです。

所謂、伝い漏れの対策ですね。

一階天井の外周部がコーキングで

気密処理してありましたが、

この場合、二階の床外周部も

同様に気密処理しておく必要があります。

 

下(一階側)を塞いだとしても、

上(二階側)が空いていると

結局漏気が起きてしまいます。

 

気密処理を行ううえで肝心なのが、

関連する取り合いは徹底して

隙間を塞ぐという事です。

 

せっかく気密処理をしたとしても

何処かに隙間が残っていたら、

その隙間から集中して漏気が

発生してしまうので要注意です。

筋交いの根元ですね。

 

柱周りはコーキングで気密処理

してありましたが、

この筋交いの根元の部分は

狭い上に穴が大きいので、

膨らんで隙間を埋めてくれる

ウレタンでの処理は良いですね。

筋交い付近をよく見てみると、

金具の付いたこんな狭い所まで

ウレタンを吹き付けてありました。

 

伝い漏れ防止の目的でしょうか。

こんな細部まで処理してあるとは驚きです。

柱のボルト金具がウレタンで

覆われていますね。

 

これは気密というより断熱の処理。

外気に接する位置にある金物は

熱橋による結露を防止するために

何かしらの処理を施しておきたいですね。

それでは測定を始めます。

気になる結果は…

C値=0.20cm2/m2の超高気密です。

C値改善作業(隙間埋め)

をしていきます。

 

ホールダウン金物の貫通部。

他はしっかり処理してありましたが、

この一ヶ所だけ忘れていたようです。

ウレタンを吹き付けて処理しました。

 

ホールダウン金物の貫通部は

多量の漏気を起こしてしまいますので、

確実に気密処理しておきたいですね。

こちらの現場は、

一部だけ屋根断熱となっていて

断熱材とパネルの間にウレタンを

吹き付けて隙間を埋めています。

 

かなりゴワゴワと吹いてあって

しっかりしていそうですよね。

しかし、近づいてよく見てみると、

赤丸の部分など僅かな隙間から

漏気が起こってしまっていました。

 

でも、これは仕方がないんです。

だってこれだけギュウギュウに

ウレタンが詰まっているというのに

漏気してしまうんですよ?

 

外気に通じる隙間があるかなんて

目で見るだけじゃ分かる訳ないんです。

測定器で減圧をしている状態だからこそ、

実際に漏気しているか否かで

隙間の有無を判別することが出来ます。

 

中間工事中の気密測定というのは、

そういった隙間を見つけて埋めるための

とても重要な機会なんです。

 

高気密住宅を建てるのに慣れている

建築会社や工務店であっても、

家の形状や関わっている業者の方々の

経験や技量によってはイレギュラーが

発生する可能性が少なからずあります。

 

そのイレギュラーを修正するために、

後悔しない為のもしもの保険として

大事なのが中間工事中の気密測定なんです。

 

小さな隙間ではありましたが、

しっかりと確実に埋めておきました。

見た目という関連でもう一ヶ所。

 

こちらは給水管などの貫通部。

一階のパネルを貫通していますので、

気密処理しておく必要があります。

 

こうして見ている分には、

問題なさそうなのですが…

スマホのカメラを使って

確認してみると…

 

後ろの方にウレタンが詰まっておらず

隙間が塞がっていませんでした。

 

管がグッと当たってるから

隙間なんて無いんじゃないの?

と思った人もいるかも知れませんが、

全くそんなことはありません。

 

ただ接しているだけでは

隙間は埋まってくれないんです。

それが気密の面倒なところでもあります。

ですので、外気に通じる貫通部は

しっかり周りをグルッと埋めて

気密処理しなければなりません。

 

正面から見ただけでは、

隙間が埋まっているように見えても

実際はそうでないケースがありますので

角度を変えてチェックするのが

隙間を逃さないコツですね。

 

それでは再度測定を始めます。

結果はいかに…

C値=0.15cm2/m2の超高気密です。

表示は四捨五入により0.2cm2/m2。

 

αA (家全体の隙間面積)が
23cm2 → 17cm2

 

n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.40 → 1.26
となっています。

この結果に、

立ち会いされた監督さんは

納得されたご様子でした。

 

改善前と改善後とで比較すると、

αA (家全体の隙間面積)が

6cm2 埋まってくれたようですね。

 

現場の気密処理をチェックしていると、

一つ一つ丁寧に、気密の事を考えた

処理が施されているのが良く分かります。

 

比較的気密の確保が難しいパネル工法で

ここまで良い結果となっているのは、

偏に㈱桐工房さまの気密に対する

熱意や想いがあるからこそでしょうね。

 

これだけしっかり気密が取れていれば、

暖かく快適な生活が出来るはずです。

気密測定

Posted by fok-rs