福井県福井市で気密測定 2023/09/15
稜です。
2023年9月15日は福井県福井市で
田中建設㈱さまの現場の
気密測定を行いました。
中に上がります。
屋根の断熱は、
ウレタン吹き付け断熱となっています。
壁の断熱材はグラスウール。
気密シート貼りの仕様と
なっているようですね。
壁をチェックしてみると、
面材と柱の取り合いがコーキングで
気密処理されているのですが、
まだグラスウールは詰め込まれて
いない状態となっています。
測定をしている私たちの観点からすれば、
気密ラインがむき出しの状態の方が
隙間を見つけたり、改善作業が
しやすい状態となりますので、
とても助かります。
この通り、しっかりと気密処理
されているのが見て分かりますよね。
面材と柱の取り合いだけでなく、
土台や胴差し、床との取り合いまで
丁寧かつ徹底的に気密処理してあります。
処理の徹底ぶりにも驚きましたが、
打ってあるコーキングの太さには
さらに驚かされました。
少々伝わりづらいかも知れませんが、
私の小指よりも太いんですよコレ。
実際にこれだけ太く見えるのは、
ただコーキングを打つだけではなく
上から押さえているので
横に広がっているというのも
あるのでしょうね。
コーキングで気密処理する際には、
なるべく接着面が大きくなるように
処理するのをおススメしたいです。
こうすることで接着面から
コーキングが剝離したり、
対象との間に隙間を作ることなく
処理することが出来ますからね。
サッシはYKK APW330。
樹脂ペアガラスです。
サッシ周りもチェック。
サッシの取り合いは勿論、
窓台やまぐさ、間柱の取り合いも
コーキングやテープでしっかりと
気密処理されていました。
本当に徹底された処理ですね。
絶対に伝い漏れを起こさせないという
意思や熱意、努力が感じられます。
現場は床断熱となっています。
床や柱の取り合いが、
コーキングやテープで丁寧に
気密処理されています。
先程の窓まわりの画像でも
チラッと写っていましたが、
WURTH製のユラソールという
強粘着のテープが使用されている
みたいですね。
玄関土間まわりの処理。
こちらも先程と同様に、
強粘着のテープが使用されていました。
一般的な気密テープと比べると
値が張るようなのですが、
その分の効果はあるようです。
なんでも、
貼ってから時間が経過する事で
接着面とテープの粘着部分が
硬化するとかなんとか。
注意してほしい事があるのですが、
たとえ高価で性能の高いテープであっても
接着面に木くずや塵が付着していると、
テープが剥がれたり浮いたり
してしまうので意味を成しません。
テープを貼る際にはまず掃除から!
これがとっても大切なんです。
床や壁の配管貫通部は
コーキングで処理されています。
配線や配管の貫通部は、
なるべく間隔を空けておいた方が
気密処理がやり易いです。
これが一ヶ所に集中していると、
あまり良くないことが起こります。
分かりづらいかも知れませんが、
上の図のような感じですね。
右のように束なって貫通している状態だと、
配線や配管同士の間に空間(隙間)
が生まれてしまいます。
この隙間を気密処理するとなると、
処理が面倒な上に結局隙間が埋まり
切らないことがあるんですよね。
こういった事態を避けるためにも、
最初から配線配管同士の間隔に
余裕を持たせることをおススメします。
測定を始める前に少しだけ、
C値改善作業(隙間埋め)をします。
壁を貫通しているスリーブ管。
既にコーキングで気密処理
されているのですが、
柱とスリーブ管が接しているため、
その間から漏気するのではないかと
大工さんが危惧したようです。
なるべく隙間を残さないように
ウレタンで気密処理をして下さいました。
床の取り合いをチェックしていると、
一ヶ所だけテープを貼り忘れている
箇所がありました
テープを貼って気密処理をします。
まぁ、この一ヶ所だけで
気密が悪くなるかと言われると
そうでも無いのですが…
それでも漏気を起こしてしまう
可能性は少なからずあるでしょうし、
何よりここまで処理を徹底しているのに
これを見過ごすというのは
勿体なく思いましたので…
大工さんや監督さん、
現場に携わった方々の努力を
無碍にしないためにも、
ここはしっかりと処理をします。
それでは測定を始めます。
気になる結果は…
C値=0.082cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
C値改善作業(隙間埋め)を
していきます。
お風呂の配管貫通部を見ると、
気密処理はされているのですが、
隅の所に小さな隙間が出来ていました。
ウレタンを吹き付けて
気密処理を行いました。
遠目では問題無いように見えても、
近くで改めて見てみると
隙間が出来てしまっていた、
なんて事は良くあると思います。
こんな小さな隙間なので
見つけるにも一苦労でしょうが、
測定器で室内を減圧している状況であれば
漏気が隙間の存在を教えてくれます。
単に気密を測定するだけでなく、
施工の再チェックをするという意味でも、
この機会は有用だと思います。
他にも、お風呂の断熱材の
取り合い部分に吹き付けてある
ウレタンに隙間があったようで、
余分なウレタンをカットしたのち、
上からテープを貼って気密処理を
して下さいました。
下屋部分のウレタン吹付箇所から
漏気している所があったようですね。
下屋に限らず、
取り合いが複雑だったりすると
隙間が出来てしまうことが多いので、
私も注意して確認しています。
追加でウレタンを吹き付けて
気密処理を行いました。
こちらは梁のボルト金具に
ウレタンを吹き付けているところ。
これが外周部に位置する場合、
外の冷気が金具を通して室内に伝わり
結露の原因となる場合があります。
気密的にも伝い漏れを起こす
可能性は0では無いですが、
何より熱橋の対策として
処理しておいて損は無いと思います。
それでは再度測定を始めます。
結果はいかに…
C値=0.059cm2/m2の
ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。
αA (家全体の隙間面積)が
11cm2 → 8cm2
n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.26 → 1.10
となっています。
この結果に、
立ち合いされたお施主様や
田中建設㈱の方々は、
喜んでいるご様子でした。
いや、本当に素晴らしい気密。
大工さんや監督さんたちの努力と想いが
しっかりと形となったようで喜ばしい限りです。
ここまで徹底した気密処理。
見れば分かりますが、
途方もないほどの時間が
かけられている事でしょう。
そして、その苦労があるからこそ
この結果に結びついたのでしょうね。