住宅完成前の換気風量測定、流量調整
気密測定ばかりではなく、住宅の換気も本業としていますので、石川県加賀市の(有)岡田工務店様の住宅完成引渡し前に、計画通り換気の空気が回ってるか風量測定と流量調整をしてきました。
まず、換気のコントローラーの運転モードをM(中運転に設定)し、換気のモーターの一番遠い所の部屋から風量測定します。L弱は旅行など家を空けるとき、H強は家族や友たちが大勢集まりLDKなどで飲み食いした時など、また天気の悪いとき洗濯物を大量に室内に干すなどの時です。
一番遠い部屋でも抜群に空気が回っていました。
工事をした電気工事職人さんは超ベテランで安心ですね。
この日は岡田社長さんも立会いされたので、家族人数をお聞きし、住宅で一番換気風量が必要なのは家族が集まるLDKが最大、次に臭いがきついトイレ、水蒸気の多い洗濯ものを干すサンルーム、浴室の換気を回さない人も多いので、浴室から水蒸気が漏れる脱衣室などは風量を多くします。
排気口の隙間のボルトのねじを締めたり、隙間を緩めたり、空けてりして風量の調整をします。
外壁からの給気口もシャッターが開いているかなど確認します。
台所のレンジファンはメーカーにもよりますが、弱運転で平均140m3/h前後、中で340m3前後、強で600m3の排気風量です。
強制同時給排のレンジファンでも給気と排気が同じ風量ではありません。メーカーのデーターを見ると平均で排気強で620m3前後、給気は330m3と半分しか入りません。
メーカーの換気の研修で、排気ファンと給気ファンがあるのになぜ同じ風量にできないのですか?と質問すると、排気と同じ風量を給気ファンで入れいると、冬寒くて台所に立っておられないので、給気は排気の半分の抑えてるとの説明でした。
レンジファンを中、強で回すと.LDKのテラス窓の鴨居や、敷居から冬、冷たい外気が入り窓際が寒く、室温が低くなるクレームをよく聞きます。
そのため、高気密高断熱住宅や、マンションなど気密の良い住宅はこの給気不足を補うためにフードのすぐ近くに給気を確保するための電動給気シャッタ―と連動すると、LDKの冷気侵入を防ぎ室温低下を防ぐことができます。
この岡田工務店様もちゃんとレンジフードと流し台の間の壁に電動給気シャッタ―を付けておられました。
レンジファンのメーカーはこのクレームをなくすために、レンジファンの操作ボタンと電動給気シャッターと連動せるための連動端子線付のレンジファンが多くなりました。
レンジファンのすぐ近くなので空気がショートサーキットしますので寒さは感じません。
換気風量、流量調整が終わったときにちょうどお施主様の奥様が来られ、換気の風量、流量調整や換気のメンテのお話をしてレンジファンを回し、電動給気シャッタ―から冷気を感じないことを体験ていただき、安心されていました。
住宅の換気の仕事は図面をいただき、熱交換第1種ダクト付き換気か、第3種ダクト付き換気
か、またはダクトのないダクトレス換気かに分類されます。
ダクト付きはダクト内の静圧で定量換気ができますが、ダクトレス換気はダクトがないので外風が強いと換気過多になり、定量換気が出来ず、あまりお勧めしておりません。
図面からどの部屋に換気本体を設置するか、換気のモーターのメンテししやすい場所と、1階、2階の住宅の木材構造小屋組みを考え、ダクトスペースと配管をあまり曲げないで通しやすい配管経路を考え配管経路図を作成します。
そして確認申請にも必要な換気計算の圧損計算をして工務店様に見積もりも一緒に提出します。
OKで決定すればメーカーに発注し現場納入して、工務店様の電気屋さんか設備屋さんが施工し住宅完了時に計画通り換気が回っているか、風量測定と施主様の家族人数や生活スタイルを会社から教えてもらいそれに見合った換気流量調整をします。
猫、犬などペットを飼うおうちは臭いが強いので風量を多く調整することもあります。
引っ越し前に換気の取り扱い説明やメンテの仕方などお施主様に取説をし、引っ越しされた後のメンテもするのが換気の仕事です。
換気部材を販売するだけでは換気本来の仕事とは思いません。
高気密高断熱住宅が断熱を厚くし、気密をよくするだけでは良いお家にはなりません。
断熱性能の温熱外皮UA値計算をし、まず断熱性能を知るとこと、そして気密、断熱、換気、冷暖房計画の4大要素がどれもレベルアップしはじめて快適な温熱環境の住宅となります。