富山県黒部市で気密測定 2023/10/24

稜です。

2023年10月24日は富山県黒部市で

伊田直樹建築設計事務所さまの

現場の気密測定を行いました。

中に上がります。

屋根と壁の断熱は、

ウレタン吹き付け断熱と

なっています。

 

屋根のウレタン吹き付けは

かなり厚みがあるようですね。

 

断熱的には勿論ですが、

気密的にもプラスに働きます。

屋根はウレタンを吹き付けてあっても

空気の通り道が出来てしまっていると

漏気を起こしてしまいます。

 

厚みがあればあるほど、

その通り道も塞がる可能性が

大きくなりますので、

より漏気しづらくなるんです。

外壁側では面材の取り合いに

テープを貼って気密処理してある

とのことですので、

ウレタン吹き付け+面材のダブルで

気密を確保している状態です。

 

さらに外壁側には、

ボード状断熱材のネオマフォームが

付加断熱として貼ってあります。

これはとても暖かい家になりそうですね。

サッシはYKK APW430。

樹脂トリプルガラスとなっています。

チェックしていきます。

 

サッシ周りはコーキングで

気密処理が施されていました。

現場は床断熱となっています。

床の合板の取り合いは

テープで気密処理してありました。

 

さらに下の大引きと断熱材の

取り合いも同様に気密処理を

施してあるとの事です。

 

気密処理をしていても、

どこか他に通じる出口があれば

結局漏気してしまう。

なんてケースもあるのですが…

 

どちらか片方だけ処理する場合よりも、

伝い漏れを起こす可能性は

間違いなく低くなりますよね。

素晴らしい処理です。

もちろん柱の下端まで

しっかりと気密処理してあります。

外周部まできちんと処理

されていますね。

 

空気の通り道を潰してしまえば

伝い漏れは起きませんので安心です。

床の配線貫通部です。

コーキングで丁寧にミッチリと

隙間を埋めてありますね。

配線や配管の貫通部を

気密処理する際には、

上の図のように注意しなければ

ならないポイントがあります。

 

例えば、3本のCD管を束ねた状態や

密着させた状態で壁や床から

貫通させて引き込む場合、

そのCD管同士の間(真ん中など)には

隙間が出来てしまいます。

 

隙間なら気密処理すればいいでしょ?

と考える方もいると思いますが、

CD管同士が密着しているだけあって、

ウレタンやコーキングで気密処理する際に

隙間の根元の部分にまで届かず、

結局しっかり隙間を埋めきることが出来ない

という事態になってしまいます。

その点、こちらの現場では、

電線同士に間隔を空けて

床を貫通させていますので、

隙間が綺麗に埋まっていますよね。

 

とても素晴らしい処理だと思います。

お風呂は床と側面に

ネオマフォームを施工して、

その取り合いをテープやウレタンで

気密処理してありました。

 

こうして使い分けしているのには

ちゃんと理由がありまして…

ウレタンというのは隙間を埋めたり

L字になっている隅の部分などを

気密処理するのに適しているのですが、

凹凸の無い平面を処理するには

イマイチ向いていないんですよね。

 

何故かというと、

単に吹き付けしづらいという問題の他に、

平面ではウレタンが密着しづらく

支える点が少なくなってしまい為、

揺れや動きによって吹き付けた面から

剥離を起こしてしまう可能性があるからです。

(偏にウレタンと言っても、

市販の1液とウレタン吹き付け業者さんの

使うような2液のウレタンであれば、

2液の方は硬化して面と密着しやすくなっています。

かなりの別物ですので、ご注意ください。)

そしてお風呂の配管貫通部。

 

先ほどの配管貫通部と同じように、

給湯給水配管や排水管の間隔を

しっかりと確保して気密処理してあります。

素晴らしいです。

二階の床(合板)と胴差しなどの

取り合いにゴワーッとウレタンが

吹き付けられていますね。

 

ここは伝い漏れを起こしやすい箇所

となっていますので、

気密的に有効なのですが…

 

ここまで厚めに吹き付けてあると、

断熱的にもかなりプラスに働きそうですね。

それでは測定を始めます。

気になる結果は…

C値=0.077cm2/m2の

ウルトラ気密です。

表示は四捨五入により0.1cm2/m2。

C値改善作業(隙間埋め)を

していきます。

 

こちらは一階の下屋部分なのですが、

外周部の胴差しの取り合いと同様に

気密処理しておくべき箇所ですね。

 

ここに関しては、

気密ラインの位置(高さ)によって

漏気するしないやその程度が

変わってきます。

屋根のウレタンは厚みがありますので、

伝い漏れする事は無いと思いますが…

 

念には念を。

ウレタンを使ってしっかりと

気密処理を行いました。

屋根のウレタンをチェックしていると、

小さな穴を発見しました。

 

これだけウレタンの厚みがあっても、

漏気してしまう可能性があるという事ですね…

なるべく奥の方まで

ウレタンが詰まるように、

気密処理を行いました。

 

この箇所に関しては、

火打ち梁が近くにありそうなので、

通り道が出来やすかったのかも

しれませんね。

 

しっかりと漏気が無くなるのを

確認出来ましたので、

これで問題ありませんね。

玄関土間の基礎と断熱材の間に

できたこの僅かな隙間。

 

こんなところからも

漏気が起きてしまっています。

ここは後の工程で埋まる箇所なのですが、

現時点での気密を正確に測定するためにも、

隙間は塞いでおきましょう。

 

玄関土間の断熱材の取り合いから

漏気するケースはよくあります。

 

おそらく砕石の隙間を伝って

室内と外とを繋ぐ道が

出来ているのでしょうね。

 

それでは再度測定を始めます。

結果はいかに…

C値=0.068cm2/m2の

ウルトラ気密です。
表示は四捨五入により0.1cm2/m2。

 

αA (家全体の隙間面積)が
9cm2 → 8cm2

 

n値 (隙間特性値 範囲1~2)が
1.32 → 1.23
となっています。

この結果に、

立ち合いされた社長やお施主様は

満足されたご様子でした。

 

今回、

αA (家全体の隙間面積)は

1cm2 の改善となりました。

 

数値だけ見れば、

それほど変化していないように

思ってしまうかもしれませんが、

それでも確実に漏気を起こしていた

隙間は塞いでいます。

 

私個人としては、

1cm2 縮まったという事よりも、

室内と外とで繋がっている箇所を

見つけて塞ぐことが出来たという事実に

価値があると思っております。

 

何より、とても素晴らしい気密で

ある事に間違いはありません。

二階の吹き抜けを見れば、

大きなFIX窓が二枚。

 

室内に光を取り込みつつ、

まるで絵のような風景を眺める事が

出来るピクチャーウィンドウ。

贅沢なデザインですね~。

 

これで暖かく快適な家となれば、

とても幸せな暮らしが出来ますね。

気密測定

Posted by fok-rs